もう一本、数年前にリリースされたピアノ弾き語りのソロ・アルバムがロングセラーとなったミナス出身の女性S.S.W.アンドレア・ドス・ギマランイスの在籍する新感覚のムジカ・カイピーラ・グループ、コンヴェルサ・ヒベイラの新譜を。
ブラジル内陸の音楽、ムジカ・カイピーラは直訳するならカントリー・ミュージック。素朴なアコースティック音楽を想起しますが、このキャリア17年を誇るトリオは、このムジカ・カイピーラに革命を起こすべくコンテンポラリー・ジャズのエッセンスとクラシカルな素養を活かし、新たなムジカ・カイピーラのかたちを模索するグループです。水、思い出と題された前作の発表後、ピアノ弾き語りのソロ作「DESVELO」を発表、ブレーノ・フイス(p)らとのガリンポというグループの作品も発掘された女性シンガー、アンドレア・ドス・ギマランイスの身体全体から発せられる詩的な唄声。少しくぐもったようで印象的な彼女の声はミルトン・ナシメントの作品がそうであるように、センチメントでメランコリーな旋律に最もアジャスト、聴くものに豊かな緑の情景を思い起こさせます。水面に輝く光のように煌めいた倍音のカイピーラ・ギターはジョアン・パウロ・アマラル、楽曲によってジャズ・モードのピアノとアコーディオンを使い分けるダニエル・ムリェール、この不動のトライアングルでトニコ作の”Pé de ipê”やハウル・トーヘス”Gostei da morena”、ヘナート・テイシェイラ”Amanheceu”などのセルタネージャに、1940年代に採譜されたサンパウロ郊外イタペセリカ・ダ・セーハの伝承曲”Moda da onça”(M.ベターニアも取り上げてます)、これらを現代的にリノべイトしたものたち。そして冒頭のボカ・リヴリ”Folia”やイヴァン・リンス=ヴィトール・マルチンス”Atrás poeira”、パウロ・ジョビン=ホナウド・バストス”Olho d’agua”といったMPBに輝く佳曲群も自分たちのスタイルに染めて。ピアノの瑞々しい音使いが映えるダニエル・ムリェールのオリジナル・コンポーズ”Cururu mitológico”、”Moda vestigio”もアルバム中存在感を放っています。(サプライヤーインフォより)