早くからキリスト教の根づいた北スマトラのバタック人のPOPは、なるほど、他の地域のインドネシア音楽とはちょっと違って、同じくキリスト教の聖歌からハーモニーや音階を組み立てたポリネシアやハワイの音楽に近いのかも知れません。そんなバタック人のポピュラー音楽のごく初期の代表的作曲家、ナフム・シトゥモラン(1908-1969)率いるナフム’ズ・バンドがロカナンタに残した1958年の10インチLP復刻CDRがこちら、ジャケはバタックの高床式家屋のイラストで、こちらもきっとオリジナルジャケを紛失してしまったのでしょう(もしかしたら盤&スリーヴのみでのリリースだったかも知れませんが…)。いかにもハワイアンにラテン音楽が交わったようなムラユ音楽、という感じ。ノスタルジックで平明、リズミカルで、北スマトラらしい風情がそこはかとなく漂っていると感じます。