いかにも、仏ノーフォーマット・レーベルらしい作かも知れませんが…、女声SSW のムサキと、フルート&ムビラ男声のトゥバツィ・ムフォ・モロイという、ともに南アフリカ、ジョハネスバーグで活躍するシンガーソングライターが共演のセカンド・アルバム。
加えて、フランス人のチェロ奏者のクレモン・プティ&シンセのフレデリック・スラードが加わった、男女ヴォイス&生楽器、電子鍵盤&ループにおいて、比較的、音数の少ない隙間のあるPOPデュオを聞かせてくれます。
はじめ、フランス人男女デュオだと思って聴いていたほど、で、南アと知れば、それなりに南アっぽいのかなあ…などと、アテにならない耳ですが、翻ってみれば、今時の南アフリカ音楽シーンの風通しの良さとか、痛感させてくれるアルバム。〜というのはファースト・アルバムへのコメント流用、まったく同じメンバーで生み出したセカンド、ということになりますが、ファーストで感じた印象は、そのままこのセカンドにも当てはまります。
1.Imini Yesithembiso 03:39
2.Green to Gold 03:13
3.Leitlho Laboraro 03:39
4.Off the Ground 02:45
5.Letter From the Sea 04:07
6.Summer in December 02:40
7.Izinto Zobomi 03:38
8.Time Against the World 02:53
9.Refuge 03:38
Tubatsi Mpho Moloi – Vocals, flute, mbira
Msaki – Vocals
Clément Petit – Cello, synths
Frédéric Soulard – Synths
〜以下、当方の NHK AM ラジオの小コーナー台本原稿の無断転用となります。
「南アフリカの不思議なシンガー・ソング・ライター男女デュオ」
というわけで、ともに、南アフリカの女性と男性による自作自演歌手のデュオ・ユニット、ムサキ&ツバツィの、これ、ほんとにアフリカの歌なんですか?と、質問されてしまいそうな曲をお聴きいただきたいと思います。
ムサキは、インド洋に面した港湾都市、イースト・ロンドン生まれ。本名アサンダ・ルサセニ・ムヴァナ、音楽家としてはムサキと名乗っている女性の自作自演歌手。そのムサキという言葉は、主な公用語は英語、ほか出身民族ごとに11の言語があるという南アフリカで、例えば、ツワナ語では「我慢強い」という意味、コーサ語では「彼氏がいなくて寂しい」という意味、あるいはソト語では「運転手」という意味だそうですが、あるいは、そんな、たくさんの意味を楽しんでいるのかも知れませんね?地元の大学在学中からオルタナティヴなロック・バンドで歌っていた女性だそうです。
もう一人のツバツィ、こちらは本名でツバツィ・ムフォ・モロイという男性の自作自演歌手、南アフリカで一番大きな都市、ヨハネスバーグ出身で、俳優やダンサーでもあるそうですが、若い頃から実験的なロック・バンドに参加していたそうです。ギターや親指ピアノ、フルートを演奏します。
と、経歴を紹介すると、南アフリカのロックなのかな、と思われるでしょうが、違います。
作詞作曲とヴォーカルはムサキ&ツバツィ、そこにフランス人のチェロ奏者と、シンセサイザー&キーボード奏者が加わり作り上げたサウンドなんですね。
それでは聴いていただきましょう。
ムサキ&ツバツィの曲で「イジント・ゾボミ」です。
どうでしょう、静かに淡々とした、男女二人のユニゾン・コーラスで歌われた曲でした。
主に、英語とコーサ語、そしてズールー語で歌っているそうです。
指と弓で弾かれるチェロの演奏がまず、印象的ですが、そこに、親指ピアノの繊細な響きが聞こえ続けます。打楽器はなし、背景に棚引くようなシンセやキーボードの旋律が響きあっています。
ま、男女のユニゾン・コーラスのゆったりと伸び上がっては、弧を描いて下って行くようなメロディーを聴いて、あ、もしかしたら、南アフリカのコーラス音楽、ムブーベみたいかも、なんて、気がつくわけですが、それはともかく、いわゆる一般的な、アフリカ音楽らしいイメージに結びつく躍動感は感じられませんよね。
でも、これもまた、現在のアフリカ音楽です。
フランス人のチェロとキーボードも、単純なフレイズを繰り返しに終始し、二人のデュエットのゆったりとした歌声を、効果的にフォローしていたと思います。
曲名の「イジント・ゾボミ」はコーサ語で「人生のあれこれ」を意味します。
〜もう、限界、限界、雨が降る、わたしが、あなたを待っていることを知っていてね、
今日、出発します、私たちは山を登っていきます、お互いに相談します、人生のことがらを、私たちはニュースについて話します、雨が降ったら、私があなたを待っていることを思い出してね、
そんな意味のことを歌っていました。