>こちらで、先に変身したエレーニ・ツァリゴプールと組んで、ポスト・ロックっぽい音に馴染んでしまったのかどうか(髪も切ってしまった)、グリーク・トラディショナル・ヴォイス meets キャレクシコ(〜ギリシャでは思いの外、大人気!)という印象の新作アルバムをリリースしてくれたメリーナ・カナ。〜1966年テッサロニキ生まれ、ファースト・アルバムは91年にリリース、こちらの作で15作目となるはずのヴェテランです。もともとギリシャ伝統音楽系レーベルの老舗 LYRA から出た人ですから推して計るべし(本人は古典文学や民俗学、神話を学んだ文科系の人だったそう)。で、そのちょっとハスキーで沈んだ調子の歌声は、いかにもテッサロニキのオリエント色漂うレベーティカやライカなど、嘆き節を淡々と歌うに適していたわけですが、このポストロック風バッキングにおいても、ややリズム感こそ異なれ、同じく淡々とした調子で哀愁と静寂を感じさせる歌声を聞かせるメリーナ・カナ、わたしは何も変わってません…、という雰囲気も伝わって来ます。が、器楽編成を変えるということは、それはこうしたタイプの歌い手にとって、もう思想の問題なので、衣装を変えただけよ、ということじゃないでしょうね。ま、要するに、過去への郷愁から現在のリアルへ、ということになるんでしょうか?この路線、支持する方も支持しない方も、昔からのファンにしてみれば、今後の動向は気になるところ。
*全く問題のない中古盤でも在庫あります。¥1900