現在のポルトガル・ファド・シーンを牽引する若手女性歌手マリーザの11年新作。前作ではカーボヴェルデのモルナやブラジリアン・ジャズまで取り入れ、ファドを拡張していた彼女、新作はそれとは全く逆に原点回帰!ポルトガルギター、クラシックギター、アコースティックベースだけをバックにした王道ファド。1920~50年代の忘れられたファドばかりを取り上げ、あるいは一部、当時の詩に新たに曲を付けたナンバーもあり、古いファドに新たな息を吹き込んでいます。隠れた名曲ということで聞き覚えのある曲もない上、作詞作曲者にもフェルナンド・ペソア、ジャイメ・サントスくらいしかわかる名前がいないのですが、非常にオーセンティックなファドだということだけは伝わってきます。なんと言ってもマリーザの切々と訴えてくる声がますます冴え渡っています。