手にとった瞬間に驚くこと必至です。箔押しのされた表紙に冊子状の48pブックレットには譜面から制作コンセプトの数々、イラストレーション版画、封筒に収まったディスク、ひとつひとつリボン掛けされた贈り物仕様の特別装丁は500部限定。
S.S.W.としての活動のみならずインディペンデント・レーベル/プロジェクト、エレファンテ・ラ・アビタシオンを主宰するマリーア・ピエン、彼女と現地で会った際も活動趣旨を説明する実際の姿に聡明な印象を受けたのですが、上記のようにコンセプチュアルな装丁が施された2枚目となる作品が届きました。
ソロ初作となる前作「La Vuelta Manzana」はリリアナ・エレーロの仕事でも知られるディエゴ・ロロンがプロデューサーに立ち、マリーア・ピエンの書き留めた身近なアコースティック風景に若干のエレクトロニクスでブレンドした好盤でしたが、2作目となる本作は1,000もの候補アーチストから選ばれてブラジル人イアン・ハミルと国中をツアーしたり、コロンビアのフェスに呼ばれたりとマリーアにとっても躍進の一年だった2014年に8弦ギターを弾くS.S.W.としてソロも発表しているラウタロ・フェルドマンのプロデュースで制作されたもの。何といっても親密なアコースティック音場にこだわったのが特徴で、自身のギターやウクレレと聡明に澄み渡った唄声、ここにチェロやフリューゲルホルンにクラリネットなど室内楽オーケストラの織り成す旋律が優しく寄り添いフリーダ・カーロをモチーフにしたタイトル曲(m-9)など、温もり溢れる詩情を至る所で感じさせてくれます。未発表・書き下ろしを9篇、うちジャック・プリヴェールの詩を引用したm-3″Jardin”とホセ・エルナンデスの本から引用したm-5″Los hermanos”と、先に遺された文化に自ら邂逅を申し込んだものもあります。この”Los Hermanos”では目を見張る程の唄旋律の起伏にコンポーザーとしての才を見出すことができますし、紡ぐギターのアルペジオからフォルクローレのリズムを汲み取れるm-8″El muerto en la heladera”、多重録音されたマリーアの唄声とシンプル極まりないウクレレのトーンの対比が面白いm-9″Bachita”など良曲揃い、そして自分のスタイルに染め上げて気付かせないのですが、ロック・バンド – ロス・アブエロス・デ・ラ・ナーダの84年作”Lunes por la madrugada” のカヴァー(m-4) をも含みます。(サプライヤーインフォより)