タイトルは “CAMEO SLEEP CLOUD” (雲をベッドに寝ている子供の彫られたカメオ〜完全意訳)これはまた一つ、嬉しいギリシャからの新作(13年末の作らしいですけど)、ファースト・アルバムだそうですが、リディア・セルヴ、お幾つなのか知りませんけど、アテネのミュージック・コンセルヴァトリーを卒業して長らくピアノ教師をする傍ら、ビザンティン音楽を学んだり、70年代初めから活動するヴェテラン有名(現地では)トラッド系女性フォークシンガー、マリーザ・コク(Μαρίζα Κωχ〜)のバックやアレンジを務めたり、ギリシャ公営放送ERTのオーケストラ(ERT自体が存続の危機らしいですけど)関係の仕事をしたりと、一貫して音楽には関わって来たそう、で、これが初ソロ・レコーディングということ。
で、そのコンセプトが面白い。ミキス・セオドラキスやマノス・ロイゾス、ニナ・ニコラコプールやヴァシリス・ディミトリウ、レオニダス・メレニス、ニコス・パパコスタス…等々、20世紀後半ギリシャ音楽シーンに大きな足跡を残してる作曲家・作詞家(または歌手兼作曲家)達の残したララバイ〜子守唄のみを集めて歌った作品ということで、ジャケットもイイし、コンセプトもイイし、ピアノや擦弦アンサンブル中心のシンプルなバックもイイし、そして何より、リディア・セルヴォの透明で柔らか、折り目正しくも淡々とした歌声がイイということで、これは、これから長く、ある種のユーロトラッド系ギリシャ女性歌手マニアの間で、偏愛されるアルバムになるかと、そんな気がします。
フォークロアじゃなくて、ポピュラー系 / ライカ系作曲家達によるララバイ、もしくはララバイ風の曲を集めたというところがミソ、ですね。