ILID KAOLO / MY CAREFREE LIFE – A BEUTIFUL MOMENT

台湾原住民(先住民)アミ族の女性シンガーソングライター、”以莉高露 (Ilid Kaolo)”イーリー・カオルーのなかなか入手困難なCD2作、『 MY CAREFREE LIFE=軽快的生活 』2011年作と、『 A BEUTIFUL MOMENT=美好時刻 』2015年作が再入荷しています!フォーキーかつアミ?衒いなく飾りない、明るくて涼やかな歌声、高感度高し!シンプルでいながら歌の伴奏にとどまらないバックもしなやかですねえ!どちらかと言えば、1stの11年作がアミ族としての自分に寄りそった作と感じられ、2ndの15年作は、現在の個人としての感覚にこだわった作でしょうか? 2017年のフジロックに出演していたそうですが、もっとインティメートなカフェとかで接してみたい歌声ですね。

MY CAREFREE LIFE 2011
01. 結実累累的稲穂
02. 軽快的生活 試聴
03. 休息
04. 晩安太陽
05. 夢
06. 城市
07. 迷人的眼睛
08. 閃閃発亮的星星
09. 路過
10. 勤労的Guad

A BEUTIFUL MOMENT 2015
01. 優雅的女士
02. 美好時刻 試聴
03. 今晚天空沒有雲
04. 好好活下去
05. 阿嬤的呢喃
06. 漂流
07. 倔強的微笑
08. 一個人的美好時刻
09. 自在的方式
10. 海浪

以下、以前ラジオでこの人の曲を紹介した際の台本の元原稿です。自分の書いたものなので、転記致します。
「台湾のことはもう、皆さんある程度ご存じだと思います。沖縄諸島の南に浮かぶ、日本の九州と同じくらいの面積の島国です。首都は台北、人口は約2352万、日本の経済とも密接な関係を持った工業国ですね。公用語は中国語(の北京語)で、台湾国内では「国語」と呼ばれています。

台湾に住まう多くの人々は、17世紀以降、大陸側から移り住んだ漢民族ですが、人口の約2%ほど、もともと台湾に住んでいた人々も存在しています。
台湾では、この古くから台湾に住む少数民族を、先住民とは呼ばずに、原住民と呼びます。
というのも漢字で先住民と書くと、中国語では、先に住んでいたけど今は滅びてしまった民族、という意味になってしまうそうで、もともと住んでいた民族でありながら、現在も住み続けている民族という意味で、”台湾原住民”と自分達のことを呼ぶそうです。
今日は、そんな台湾原住民の若手女性歌手による生き生きとした歌を聴いていただきましょう。曲名は、輕快的生活 My Carefree Life  マイ・ケアフリィ・ライフ
アーティストは、以莉.高露 ILID KAOLO  イリ・カオロ
歌っているイリ・カオロは台湾の原住民の中でも最も多くの人口を擁すアミ族の女性シンガーソングライターです。
アミ族の人口は約14万9千人、主に台湾の東部一帯の平地や山岳部、海岸に住んでいるそうですが、現在では 台北や高雄といった都市部で生活しているアミ族の人々も多いそうです。
台湾東部は自然に恵まれ、風光明媚な土地として知られていますが、今聴いていただいた曲、マイ・ケアフリー・ライフという英語のタイトルがついた曲は、そんな海あり、山あり、きれいな川も流れる美しい風景の中で生活することを歌った曲かと思います。
伝統的なアミ族の生活は、平地では稲作農業を営み、豚などの家畜を育て、海岸では漁業を営むことが多いようですが、まさにそんな生活、英語タイトルを直訳するなら、「私の、のんきな生活」といった意味の曲になるでしょうか。
太陽が出ている、こんにちは!太陽が輝いている、昔ながらの物語、稲穂が風に揺れている、雷が鳴る、そうそうお昼には雨も降りそう。
日が昇り輝き出す、一日の始まりをアミ族の言葉で歌った、おおらかな曲だと思います。
なんだか、高らかに鳴るトランペットやサックス、生き生きとした女性コーラス、ウキウキするようなリズム感、空を仰ぐようなメロディーがとても印象的です。
それでは、もう1曲聴いていただきます。
イリ・カオロで、曲名は Clusters Of Rice Plants クラスターズ・オヴ・ライス・プランツ
“クラスターズ・オヴ・ライス・プランツ” という英語のタイトルがついた曲ですが、要するに稲の実のふさ、お米の稲穂という意味のタイトルになるかと思います。
さきほどの曲とは打って変わって、アコースティック・ギターの弾き語りにピアノの演奏が交わるユッタリとした曲です。
スローなボサノーヴァのような雰囲気で、落ち着いたメロディーを淡々と辿るイリ・カオロの歌声に癒やされます。
南の風がゆっくり吹いている、
母親にそっとなでられ、子は眠りに落ちる
泣かないで、おさない子よ、
恐れないで、おさない子よ、
あの実ったお米を見てごらん、
瞬く間にしっかりと実ります。
からだを大切にして、
瞬く間にしっかりと実ります。
しっかりと歩きなさい、
と、そんな意味のアミ語の歌かと思います。
我が子をあやしながら、実ったお米のような、おさな子を慈しむ母親の気持ちを歌う、柔らかな表情の曲だと思います。
今年44歳のイリ・カオロですが、歌の内容そのままに、夫と子どもたちと農園を営み暮らしている母親でもあるそうです。
日本でもなかなか人気があり、2度にわたり来日してコンサートも行ってくれました。
そしてもう1曲、短い曲を聴いていただきましょう。
英語のタイトルは Hard – Working Guad  ハードワーキング・グアド
曲名の意味は、”働き者” といった意味でしょう。
掛け声と合いの手を繰り返すような、女性たちの歌とコーラスによる曲です。
そしてその歌声の背景には、寄せては引く海の波の音が聞こえています。
おそらく、アミ族の人々が海で漁をする時の歌、労働の歌なんじゃないかと思います。
日が昇り、海や田畑で働き、そして日が暮れたら、団らんを楽しみ眠りにつく、昔ながらの暮らしを連想させるような歌でした。

 

MY CAREFREE LIFE 2011 ▽

A BEUTIFUL MOMENT 2015 ▽

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