IDRISSA SOUMAORO / DIRÉ

鍛冶屋の家系に生まれたイドリッサ・スーマオロ(1949-)ですが、バマコで音楽を学んだ後、サリフ・ケイタ、カンテ・マンフィーラ(ギネア出身)等を擁したマリの名門バンド、アンバサドゥール・デュ・モーテル・ドゥ・バマコ(1970-77)に在籍していた人ですね。
その名の通り、モーテルの専属バンドだったアンバサドゥールでしたが(当時のマリ国防大臣がモーテルのパトロンでしたが、その国防大臣も加わったクーデターが失敗に終わり)、モーテルは閉鎖、クループは仕事の場を失い解散。その後、グループ名 が アンバサドゥール・アンテルナショヌウ に改められ、再出発(主にコートジヴォワールで活躍)することとなる以前にグループを離れ、78年に自己名義のLPを1枚>”NISSODIA” 出してからは以降 、現在に至るまで、マリにおいて音楽教育に専念して来た人でもあるとのこと。
ことに英国バーミングム大学で専門的に学び、帰国後に取り組んだ視覚障害者に対する音楽教育においては、マリ国内の第一人者だそう(ご本人の視覚には特に問題ないようですが)。
その片わら、レコーディングに復帰したのは、仏 Syllart 制作の>こちら (2003)が久々の作でした(初のインターナショナル盤)。続いて>こちらを 仏 Lusafrica から2010年にリリース、それから、かれこれ13年目となる今年、齢74歳にしてこの新作、とうとう4作目のアルバムをリリースしてくれたのでした。
そして本作、何にしても、その歌声の深みある響きが素晴らしく、全体、リラックスしつつ、じっくりと楽しませてもらいました。決して、無理な発声をすることなく、力まず、語るようにも歌う淡々としたヴォイスが感じさせる懐の深さは、ただごとではありませんね。大抵の場合、70歳も過ぎると、往年の歌声を失ってしまうのは、どこの誰でも同じとしても、例えば北米カントリー・ブルース・シンガーなどは、時として然に非ず、年を経るごとに味わいを増したりする人もいたものですが(ま、人それぞれですが)、そんなことも連想させつつ、やはり西アフリカ、マリのさまざまな音楽の伝統を自分流にミックスし磨き上げて来たと思しきその音楽性(流石に音楽教師だけあって、ロック風やらラテン風などなど、様々なヴァリエーションを自在に聞かせつつも)、そんな中から、しなやかに伸び上がるようにも、ゆったりと語るようにも聞こえる、まったく衰えというものを感じさせない、その深みのあるヴォイスがなんと言っても本作の魅力じゃないでしょうか。
もと同窓のサリフ・ケイタとは、また対極にあるような、歌の自在さを獲得した音楽性、とでも言いたくなります。

>こちらで紹介されています(無断リンク陳謝&感謝)!

1.Diré Taga
2.Kalata
3.I djidja
4.Kassi
5.Bi fourou
6.N’den tedi 03:54
7.Don’t worry
8.Sally
9.Sababou 04:05
10.Yélé

Lead Vocal, guitar, kamalen n’goni: IDRISSA SOUMAORO
Guitar: AMADOU BAGAYOGO (Amadou et Mariam) (track Yélé)
Bass, keys, back vocals: YAO DEMBELE
Drums, percussions: YVO ABADI
Guitar: BOURAMANI KOUYATE
Djely n’goni, n’goni ba: MAHAMOUDOU ‘ASSABA’ DRAME
Flute: CHEICK DIALLO
Balafon, percussions: SOUNGALLO DIARRA
Calabash: YACOUBA SISSOKO

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