HUONG THANH & NGUYEN LE / FRAGILE BEAUTY

huong-thanh08在仏ベトナム人=女性歌手&ギタリストによるデュオ、3年ぶりの08年作となります。お待たせしました!で、その内容、待たされただけのこと、ありますね。フレンチ・ジャズの売れっ子サックス奏者、ステファヌ・ギョームはじめ、日本人琴奏者、宮崎恵美子、欧州で活動するベトナム人ダンバウ奏者や、バンブー・マリンバ奏者、カホーンやパンデイロをこなす打楽器奏者、ほか独アクト・レーベル周辺のユーロ・ジャズ系腕達者たちが集まり、普通ならばサンプリングやエフェクトで済ますところを、驚くべき緻密な生音によるミクスチュアーにおいて、落ちついていて、つややかなバッキングを奏でています。そんな中、おなじみの波間に漂うような、上下に揺れるベトナム的旋律/メリスマを、たおやかな発声でフーン・タンが辿ってくれるわけです。一方、グエン・レのあの独特なギター、今作ではアンサンブルに溶け込み、あくまでもバックに徹した印象ですが、溶け込みながらも耳に響き続ける通底音のように感じられます。全体として、ユーロ・ジャズでもなければベトナム音楽でもない、重層的であり、そして緻密でありながら、どこか偶然とも聞こえる単純さで、このデュオならではの音楽がゆったりと楽しめる快作となっています。勿論、オススメします。

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