12年12月12日リリース!ということで、ハリス・アレクシーウの3年ぶりのスタジオ録音新作です。今年、ディミトラ・ガラーニとの旧交をあためるようなライヴ2枚組をリリースしてくれましたが、あのジャケットの笑顔は何だったんでしょう?という、シブイお顔のジャケットが印象的ですね…。不機嫌、というか、ハードボイルドというか、が、この顔、インナー、ブックレットの立ち姿も含めまして、イイ感じですねえ、カサベデス映画『グロリア』のジーナ・ローランズみたいですよ(?)。というわけで、OKですね、中身を聞かなくてもわかります。オススメしましょう。~ って、それで終わるわけにも行かないんで、概要ですが、~アルバムのコンセプトは、去年、亡くなってしまった1970年代以来の盟友、歌手であり作曲家でり、ジャーナリストでもあったマノリス・ラソーリスに捧げられたアルバムだそうです(そーゆうことならその悲痛な顔も納得ですが)。アルバム全編マノリスの曲を歌い、ジャケには彼の綴った文字が配され、冒頭曲には彼のモノローグが挿入されています。そして音作りでは、新旧5人のアレンジャーを迎え、オーソドックスなライカ調から古風なレべーティカ調、あるいはグリーク・ロック風、タンゴ風、ラップ風まで、斬新さとオーソドックスさが互いに同じ光を放ちながらイブシ銀のようにまぶされたシブイ仕上がり。そして先のガラーニとのライヴ盤でも証明された円熟の境地~力み無く、どこか放り投げるようなアンチ・ドラマティックな発声が、より深いドラマトゥルギーに繋がる素晴らしい歌…、これは聴きものです、一生聴けます!00年代ハリスの作の中でも際立つ1作になったかと、そう思います。…にしてもラストの男声ゲストとのデュオ、不思議な曲です。その時計の針音がチクタク聞こえる曲で思ったことには、全体のテーマは老いと死にあるんじゃないかと…、そういう風に聞こえます。人ごとじゃありませんね(こちとら初老ですから…)。