「テュルリュ」、トルコ語で種類というような意味合いのタイトルのこのアルバム、心を奪う危険に満ちた音に充満しています。ハジュ・テキビレクはトルコ南部、シリア国境近くのアダナ生まれのネイ奏者。15歳でイスタンブールに上京し、トルコ伝統音楽を学び、すぐにゼキ・ミュレンやオルハン・ゲンジェバイなどの大スターと共演するトッププレイヤーに。1974年、トルコの打楽器奏者オカイ・テミズの楽団としてスウェーデンに移住。2011年にはスウェーデンの音楽祭で、フォーク&ワールドミュージック部門のアーティストオブザイヤーを受賞しています。このアルバムはストックホルムとアダナを往復し、ジプシー系のストリングスカルテットや スウェーデンのジャズ演奏家たちと作り上げた作品。10分を超えるスーフィー音楽や民謡、ジプシー音楽、今は数少なくなりつつある貴重なトルコの吟遊詩人の歌、さらにはエジプトのサイード・ダルウィッシュやウンム・クルスームの曲までを取り上げ、深く幅広いルーツの豊かさを堪能させてくれます。
最後の一曲はジャケに写るようにトルコのハマムの中で収録。日本で言えば銭湯で録音しているのと同じことです。むしむしとした不思議な音響の中でネイとスーフィーのアンサンブル(ヴァイオリンやテフなど)が響き渡ります。こんな録音聞いたことない。この一曲のためだけでも是非!