HAACAALUU HUNDEESSAA / MAAL MALLISAA

折しも今夜(11月3日)、エチオピア政府軍のティグレ州西部への空爆に応えて、ティグレ人民解放戦線(TPLF)が侵攻(虐殺あり)、要衝を制圧し続け、首都アディス・アベバへの進撃直前という外伝…。この進撃に対し、オロモ人の現エチオピア政府首相、アビィ・アハメドはアディスの住民に対し、所有する銃器を2日以内に当局に登録し、近隣住民を守る自衛を組織すべしと非常事態を宣言、って、いったいエチオピア、どうなっているんでしょうか? 

ところで、そのエチオピア北部に住まうティグレ人(人口450万人)によって組織されたティグレ人民解放戦線は、1974年(ハイレ・セラシエ退位によるエチオピア帝政の終焉〜エチオピア革命)から1991年まで続いたメンギスツ・ハイレ・マリアムの軍事独裁政権を打倒したことにより、以降、世紀を跨いで、エチオピア国政の中心勢力として彼の国を治めて来ました。
が、2018年にオロモ人のアビィ・アハメド(オモロ人の人口は5千万人以上)が首相に就任、国は一新されることになります。長らく続いたティグレ人主導による国政は終わり、従来の与党連合、エチオピア人民革命民主戦線は解党、アビィ首相が属したオロモ人民民主機構は、アムハラ人(2700万人)のアムハラ民族民主運動や、そのほかの少数民族政党と合流、19年にはエチオピア政府与党連合として“繁栄党”が結党されています。
同じ年、アビィ・アハメド首相は、隣国エリトリアとの長きに渡る国境紛争を終結に導き、和平合意を実現したことでノーベル平和賞を授与されました(そしてこの度、空爆やったり、銃を取れ、なんて言ってるわけですが…)。
それはともかく、この繁栄党率いるアビィ首相に反発しているのが、ティグレ人民解放戦線であることは、まあ、当然の成り行きですが、そのティグレ戦線と共闘しているのは、反アビィ派のオモロ人急進派から成るオロモ解放軍だということ…、オロモ分離独立を謳う彼らが、アビィ首相に反発したキッカケは、本CDの主、エチオピアのオロモ公民権活動家であり、シンガー・シングライターだったハチャル・フンデサの去年6月の暗殺、そして、それに続く暴動と逮捕(死傷者も多数)だったということで、う〜ん、その辺、やっぱり何だか、よく、わかりませんが。
ともあれ、約80の民族を抱えるエチオピアのこと、周辺事情も含めて、そうそう簡単にいろいろとコジれた国情が一気に解決するわけもなく、ハイレ・セラシエの帝政や、あるいはメンギスツ・ハイレ・マリアムの独裁といった強権なしにはなかなかまとまらない国なのかも知れません。が、そんな困難な中でも、公平であること、一歩一歩、歩みを進めて行くことを歌に託した故ハチャル・フンデサ、その命日リリースの遺作となった本CD、その歌と音楽を聴いて痛み分け、内戦やめて全員で聴けばいいのに、なんて、大雑把なことを遠方から希望してやまないわけですが…。

余談、ところで、アビィ・アハメド現首相、父はムスリム、母はエチオピア正教徒だったそうですが、ご本人は近年、エチオピアで信徒を増やしているキリスト教福音派プロテスタントだそうで、う〜ん、なるほど、だから最近、ガンガン、福音派プロテスタントのエチオ・ゴスペルが盛りだくさんにリリースされるのだな、と、政治と宗教と音楽の関係を邪推したりも…。

ところで本題(?)、ハチャル・フンデサその人と音楽に関しては、
>こちらで、じっくり紹介されているのでした(無断リンク陳謝&感謝)!

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