高いですねえ…、まったく、アフリカはトーゴのエヴェ人男性ラッパー、イロム・ヴィンス(って、読むんですね)の 2020年作、初入荷です。クリックして注文完了後、送料含む請求額を見てビックリしてしまったんですが、当店開店以来、CD1枚の仕入れ値として一番高い CD かも知れません。というわけで、1枚ものCDに関して、これ以上の値段はつけない、と、当店で決めている限度額に達してしまったワケですが、どうかお許しを(しかも、届くのに3ヶ月かかって、もう忘れてましたよ…)。
このイロム・ヴィンス、無断リンクさせていただいた “after you” で、詳しく紹介されているように(毎度、勉強になります)、レーベル主宰から服飾デザインや出版も手掛けるマルチな才能、そして、ラッパーとしての音楽性はもちろん、その横断的な才において、トーゴ、そして西アフリカの習俗風俗を背景に散りばめつつ、鮮度の高いヴィジョンを提示する手腕、なるほど “アクティヴィスト” と、呼ぶにふさわしい存在と納得が行きました。
自ら監督し、時にカメラも回していると思しきそのミュージック・クリップにしても、あるいは、クリップの域を越えているやや長尺の映像にしても(youtube で幾つかご覧になれます)、なんだか、よくわからないなりに、見ごたえありますね。
仏語、エヴェ語、英語で、モノローグのようにもアジテートのようにも、時にゲスト・ラッパーたちと張り合い、時に嘆くようにも呻くようにも聞こえるフロウ、伝来の女声コーラスも聞こえ、ラフな打ち込み風ビートを基調に、トーキング・ドラムやエヴェの太鼓が打たれ、バラフォン、コラ、親指ピアノの調べも聞こえるし、ギネア風の金管重奏の曲、アフロファンク調や、酔いどれが繰り言を交しているような曲、往年のヴェテラン男声ゲストが陽性のハイライフを歌う曲も素晴らしい出来、中にはフリーキーなジャズ系金管が交わる曲や、丹精なセレナーデ・ギター弾き語り風ラップ?もあったりして、そんな、多彩といえば多彩な曲の並びが、インタールードも含めて、互いに残響を共有しつつループを描きながら循環しているようにも聞こえるアルバムです。そんな中、唐突な感じで、幼な子の声が聞こえ、その父、イロム・ヴィンスと交わす会話が続いてアルバムは終わります。アレ?でも、この子の声、アルバムの出だしでも聞こえたな、と、そう思ってみれば、なるほど、この子の声で始まり、この子の声で終わる円環の中に聴き手を誘っているんだな、と、勝手ながら納得した次第。
bunboniさんによれば、CD ジャケ中央の小さな男の子が、イロム・ヴィンスの幼い息子だそうで、なるほど、こっちへ、と、招かれ、吸い寄せられるようなジャケ写かも知れません。で、そんな誘いに乗って聴いてみれば、怖い、ということでもないんですが、個人的には、けっこうマジカルなアルバム、聴いている間、迷路に入り込んだような?そんな錯覚を憶えた作でした。ま、例によって、少し酔って聴きましたが、
ところで、本作の表題曲 “AMEWUGA” という言葉は、「それが、どんなもモノであろうと、生きている人より価値のあるモノはない」といった意味につながる言葉だそう。なるほど、そうと知って “AMEWUGA” のクリップを見れば、ガスマスク状のものをつけた女たちが熱帯の浜辺で繰り広げる暗黒舞踏や、ラスト、銃殺を執行しようとする兵隊に対するイロム・ヴィンスの不敵な笑いも理解できようというもの…と、言いたいところですが、ま、よくわかりませんね、
★無断リンク陳謝&感謝!>https://bunboni.livedoor.blog/2021-02-13
1.Egungun 04:25
2.Aux Impossibles Imminents 02:52
3.Asile 02:46
4.By Enemies Necessary ft. Diamondog 03:18
5.Umoja Ni Nguvu 03:38
6.1973 02:35
7.Aveugle dans les ténèbres 03:29
8.Le sang de la bougie ft. Modenine & Rocé 04:32
9.Amewuga 04:06
10.Gbessa 01:17
11.Poings d’interrogation 03:06
12.Le fardeau de ma lumière 03:32
13.Agbé favi ft. Dama Damawuzan 03:31
14.L.A.W 02:39
15.Le silence est un cri 05:30
16.Life iz a puzzle 06:04
17.Ubuntu avec Enouéké 05:13