DEREDIA / BIANGLALA


50’sレトロ系バンドによるコンセプト・アルバム

レス・ポール&メリー・フォードからの影響を受ける、レトロ・ポップ・ジャズ・バンド:ディレディア。今回のコンセプトは〈1950年代インドネシア〉。ラティという架空の人物を中心に、家族や友人との楽しい物語、元外国人兵士とのラブ・ストーリーを組み合わせ、ラティの思春期~結婚までの道のりを描いています。サウンドのほうはお馴染み、ポップ/コケティッシュな女性ヴォーカルを中心に、バーレスク、スウィング、ワルツ、クロンチョン、レス・ポール&メリー・フォード風、アンドリュー・シスターズ風など、レトロ・ミュージック・ファン感涙のセンス!(サプライヤーインフォより)

>こちらで紹介されています(無断リンク陳謝&感謝)!

*以下、先だって NHK AMラジオで、ディレディアを紹介させていただいた際の台本元原稿です。

「インドネシア、古くて新しいレトロPOP!」

インドネシアの大衆音楽が、いわゆる洋楽、欧米の流行音楽を輸入し始めたのは、20世紀半ばのこと、ジャズやラテン、あるいは、ちょっと遅れてロックン・ロールやR&Bも吸収し、ヴァラエティに富んだ音楽シーンを成長させながら、今に至るわけですが、その辺は日本も他のアジアの国々も大同小異ですよね。
この2020年代の現在に到っても、海外の新しい音楽の影響を吸収することでデビューする新人が、跡を絶つことはないでしょうね…
でも、今日ご紹介するインドネシアのデレディア Deredia というグループは、ちょっと異色かも知れません。
紅一点、女性歌手のルイーズを擁する5人組のディレディア、彼らが目指してるのは、インドネシアの音楽シーンが、欧米の流行音楽を輸入し始めたその時代を今に再現しようとしている、そんなグループなんです。
って、ちょっとわかりにくいですよね…
ま、要するに1950年代の欧米の流行音楽の影響を、当時のインドネシアにタイムスリップして、追体験しているような、そんな音楽性を感じさせるグループなんです。

とりあえず、百聞は一聴にしかず。1曲聴いていただいた方が早いでしょう。
グループとしての2作目となる、デレディア今年の新作アルバムから、
曲名は「Lagu Dansa ラグ・ダンサ」です。

どうでしょう?
なんだか、オールディーズというかレトロというか…、
タイムスリップした先の50年代のインドネシアで、米国ポピュラー・ソングの影響を受けた、こういう曲があってもおかしくない、というところまで計算しているような? ここまで完成度が高いと、単なるアナクロニズムとか時代錯誤ということよりも、大した才能だ、と思うしかないですよね。
結局、このギター、キーボード、ベース、ドラムス&ヴォーカルの5人組は、自国インドネシアの20世紀半ばのオールディーズをコヨナク愛し、追体験しようとしている5人組、と言うこともできるでしょうね。
しかも、紅一点ヴォーカルのルイーズ嬢のチャーミングな歌い口も、過不足の無いバッキングも、現行のインドネシアンPOPとしての充実ぶりにも、脱帽するしかありません。

彼に会うのが待ちきれない、
あなたが来てくれて感謝、
お陽さまに照らされて
顔を洗うのも嬉しくて、
とっておきのドレスを着なきゃ、
鳥たちも歌ってるわ、
気持ちのイイ土曜の朝、

と、こんなことを歌っていました。

ところで、20世紀半ばのインドネシアで、米国のポピュラー・ソングに負けず劣らず人気があったのが、カリブ系のラテン音楽でした。もともと、数え切れないくらいの島から成る国、インドネシアのこと、あるいは、キューバはじめカリブ海の島々が育んだラテン音楽には、親和性があったかも知れません。
そんなわけで、前世紀半ばのオールド・ラテンの影響を十二分に活かしたかのようなナンバー、デレディアが今年発表した曲、「セナンドゥング・ペルピサハン」を、聴いてみて下さい。

ラウンジーな雰囲気のオールド・ラテン調の曲に、ルイーズの丁寧、ソフトな歌い口が実によく似合っています。ピアノ演奏を活かしたシンプルかつシックなアレンジも洒落ていますねえ。何より、余計な音が一つもないところ、これはこれで、古き良き洋楽の旨味を、しっかり吸収している成果なんでしょうね。

闇夜を彩る赤や黄色のライト、
アトラクションとダンスフロア、
楽しもう、日曜の夜、
リズムに乗って、
そして、カラフルな花火、
光輝く夜、

と、そんなことを歌っていました。

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