もう、わからないことだらけなんですが、魅せられました…。名前の前に “Ca Si” とあるのは”歌い手”ということなんですが、いつ頃の録音かわからないものの、その”Ca Si”表示は00年代になってからあまり見ませんから、90年代の作品というでしょうか?どういった伝統的な歌謡と結びついた歌なのかもわかりませんが、やや中華ムードが漂っているところからして、北部ベトナムの録音だということは察っせます。けれど、その北ベトナムに名高い民歌 “クアン・ホー” に較べるなら、高音域で歌い込んで行く中華マナーは比較的薄いと感じられ、どちらかと言えば、歌劇風の劇中歌から発展した歌謡スタイル?あるいはその歌い込み過ぎない淡々とした雰囲気は、地方色豊かな民謡に由来するのかも知れません。
ベトナムに独特な一弦琴ダン・バウのテルミンみたい?な音色と、和琴にも似たダン・チャインの繊細な弦の調べ、切ない竹笛の音、背景にノスタルジックなストリングスも加わるゆったりとした伴奏の中、微妙に高低する、たおやかなコブシ使いを聞かせてくれる女性歌手です(1967年ハノイ近郊生まれ、長らく伝統音楽教師を務めている人らしいんですが)。数曲、男性歌手とのデュエットも聞かせますが、とにかく全曲スロー、ゆったりと月見酒なんか楽しむ夜に最高でしょうねえ、きっと。
▼45秒過ぎから始まる曲が本CDの冒頭曲となります。