ハンドメイド・タッチで、牧歌的に穏やかなアンサンブル。素朴なユニゾンで織り重ねたり回し歌いをしたり。ブラジルらしく生ギターに加えてカヴァキーニョやチャランゴ(これは隣国の方が盛んですが)、打楽器もカホンを中心にパンデイロを用いたり、そこにグロッケン・シュピエールや鍵盤ハーモニカといった親近感をもたらす楽器群。ヂエゴ・ブラヴォ(per,vo)、フレッヂ・ディ・ジアコモ(b,vo)、チアゴ・ヴァン・デウルセン(vo,g)のそれぞれ、或いは共作で唄を作り、唯一の女性メンバー、カリン・ウエッキ(p, vo)が印象的なコーラスを付けるというこのバンド、郊外のフォーク・ミュージック=ムジカ・カイピーラ、米国ならカントリーと呼ばれるそれらとサンバ、ロック、宅録ポップなど様々なエッセンスを混合、日常生活や土地の歩んできた歴史観を感じさせることばと共にロマンティックな情景を描いていきます。本作が2ndとのことですが、m-1″O Céu Distrai”やm-6″Vamos Festejar”のように、人懐っこく寄り添うようなインティメイト・フォークという作風を既に確立しており、ここに楽器編成やリズムの妙で枝葉のように広がるヴァリエイション。共同プロデューサーとしてクレジットされているサンパウロのS.S.W.ガブリエル・ナシンベーニや、ブラック・ミュージックのテリトリーで活動する女性シンガー、ナイラ・ライスも要所にゲスト参加。(以上、サプライヤーインフォより)
ああ、なんだか、心洗われますねえ…? 実に和気あいあいとやってます。一応、2010年代の終わり、サンパウロのインディー・フォーク・グループがムシカ・カイピーラ(田舎音楽)っぽい曲を演じている、ということになるんでしょうけど、そうしたことはともかく、時代性や地域性、あるいはスタイルやモードを越えて伝わる、正直さや親密さに満ちた音楽とでも…、アーティスト情報に先行して、まず、そんな風に感じてしまいます。 “インティメイト・フォーク” とサプライヤーさんが言う通りです。
単なる演出、あるいは逃避やファンタジーが描く親密さなら、そんな風には感じないでしょうね、たぶん。音楽は正直ですからね(って、自分のような不正直者が言うことじゃないんですが…)。
というわけで、何言ってるのか、自分でもよくわからなくなって来ました。が、そんな風に感じたということです。意味不明ということならば、その意味不明のまま、オススメしたい1枚です。
タイトル『アメリカ』は合衆国のことではないでしょうね、南アメリカ大陸、ということだと思います。そこに住まわっていることの意味を、彼らなりに問い直しているような、そんな作? と推測できるような気がします。気がするだけですが、
1.O Céu Distrai
2.Exílio
3.Baile no Canto da Terra
4.Pai
5.Carta ao Filho
6.Vamos Festejar
7.Modinha
8.Janela
9.Canção do Pó
10.Desamparo