イタリア1954年生まれ、今年60歳なんですが、こちらは2012年作ということで、58歳の録音〜今のところ最近作となります。デビューは1975年、プログレマニアにも評判の静謐なイタロ・ユーロPOP路線で当時、一世を風靡しました。近年は、その低音から高音まで自在、いかにもイタリアらしい節まわしの歌声がトレードマーク、今作でも変わりありませんね。こちら19作目のアルバムということで、80年代初めからの盟友、フランコ・バッティアートの曲を10年ぶりに取り上げています。で、普段は当店ではあまり品揃えしていないPOP系女性のこのアリーチェですが、何だか、イイ歳の取り方をしているなと、本アルバムの1曲目 “Morire d’amore” を聴いて、ちょっと見直してしまった、ということはあります(この冒頭曲、ハリス・アレクシーウを意識しているように聞こえるのは自分だけでしょうか?)。よく練られたエレクトロ使いのフォーキーなバッキングにおいて、どこか沈痛な、抑揚ある低音ヴォイスが辿るカンタトーレっぽい旋律がしだいに高い声域へ移って行くところ、何だか沁みますね。