出ました!エチオピークス第28弾/最新作はオロモ・ピープルのスター歌手、アリ・モアメド・ビラの1970年代前半作品集〜実にカッコイイ!今までとはちょっと違いますね。オロモの人々はケニアやソマリアにも渡って住まうとされていますが、エチオピア人口の40%を占めるエスニック・グループであり、アムハラ人とともにエチオピアの2大勢力となっています。が、このCDの主、モアメドの名が示す通り、スンニ派イスラム教徒も多く、基本的に正教徒の支配層としてあるアムハラ人に対して不満を抱いているそうで、近年ではオロモ・ナショナリズムが高まっているそうです。過去にも、ハイレ・セラシエ皇帝を退位させた74年の革命時、オロモ人は社会主義革命に大いに期待したそうですが、そんな革命を讃える歌をうたいオロモ同胞に支持された頃の録音が本CDにも多く収録されました。が、翌75年には早くもこのアリ・ビラ、革命への幻滅を歌っているわけですが、ま、そういうことはともかく、当時の通常エチオPOPに較べるなら、ヨナ抜き音階への依存度はやや低めだし、ほんの少しライトな発声も聞かせるし、どこかニューソウルっぽいフォーキーな感覚もそこはかとなく感じられるその音楽性、エチオ版ダニー・ハサウェイとでも言いますか?(…言い過ぎですが)耳に新鮮であることは確かですね。とはいえ、そういう微妙な感覚は聞き取れるものの、充分にディープ、エチオピアならではの音であることも確かです(ちなみにボーナスで収録された60年代後半音源は通常エチオピークスのディープ路線とそう変わりません)。それにしても期待を裏切りませんね、フランシス・ファルセト!