トルコ音楽の良心であり前衛でもあるKALANレーベルの新プロジェクト発足〜名付けて”Z” prod. ということで、その皮切りの作がこちら、アディル・ヤドルグのセカンド・アルバムです。05年のデビュー作では、バルカンに伝わるトルコ系フォークロア、ルメリア歌謡をオリエント・エクスプレッションズ(ダブルムーン)とともにアーバンなフォークロアに仕上げていました。で、それから8年後のリリースとなる本作では、イスタンブールという都市での生活感覚にフィットするハルク(アナトリアほかのトラッド ・フォーク)を歌い綴ったというアルバム、ということで本筋に変化はありませんね。ただし、1作目がエレクトロ&リミックス感覚の強いバッキングだったことに対して、この2作目はKALANらしい落ち着いた印象の生音中心の伴奏に終始、カヌーンやサズといった伝統楽器も含み、より大人っぽい感覚で都市のフォークロアを繊細に表現していると言えるでしょう。どこかダウナーで透明感ある美声が、洗練されたフォークロアを体現します。