1930年代から歌手として、ショー・キャバレーへの出演者として、そしてフィルム・スターとしても活躍したメキシコのボレロ女性歌手エルビラ・リオス。本作は、50年代後半にデッカから10インチ盤でリリースされた『TROPIC NIGHTS』から、曲目はシャッフルされていますが全8曲を収録するリイシューです。
彼女はメキシコ以外に、U.S.A.、アルゼンチン、チリなどでも人気を掴んだそうですが、基本的にメキシコの大作曲家アグスティン・ララの曲を得意として、レパートリーの多くがララの曲だったそうです。本作でも「ノーチェ・デ・ロンダ」他、アグスティン・ララ作の3曲をはじめ、ラファエル・エルナンデス、エレクト・ロセール、アルベルト・ドミンゲスらによるボレロを中心に、バルスのレパートリーも披露。1940-50年代プレ・フィーリン時代のモダーンなボレロ、カンシオーンをどちらかというと淡々とした気品を持って歌います。その抑制されたラテン的な美意識とちょっとした退廃美に妙なエキゾチシズムを感じさせられます。バックは、ホセ・モランド指揮のオーケストラが担当。
盤起こしと思われ、若干のノイズがございます。紙スリーブ・ジャケに、レコードに模した黒色CDが封入されています。(以上、サプライヤーインフォより)
キューバで生まれたボレロを、1930年代後半からメキシコで歌い始めて人気を得た最初期のスター女性といえば、まずこの人でしょうね。何と言うのか、どこか暗い影、決して、もう何にも期待しまいという生き方の中から、それでも訪れようとしては消えていくかも知れない幸運やロマンスを、静かに見つめながら歌う感じとでも。う〜ん、情熱の国メキシコ! なんて、軽々しく言わないで下さいよ、と。こんなスター女性を産んだ国ですよ、彼の国は。そして我々は、こういう歌を静かに聴いてもイイ年頃ですよ、もう、たぶん(って、何を言ってんだかですねえ〜)。
1. Vereda Tropical (Bolero) – Gonzalo Curiel, Juan Peso
2. Noche De Ronda (Vals) – Agustin Lara
3. Murmullo (Bolero) – Electo Rosell
4. Tú No Comprendes (Bolero) – Rafael Hernández
5. Perfidia (Bolero) – Alberto Dominguez
6. Te Vi Pasar (Fox) – Agustin Lara
7. Farolito (Vals) – Agustin Lara
8. Flores Negras – Sergio de Karlo