AL BILALI SOUDAN / CHEZ ABALLOU

“スーダン”のグループじゃなくて、マリのサハラ周縁の古都、トンブクトゥの古い呼び名としての”スーダン”ということですが、砂塵にくすむサハラのジャケが、まず目を引きます。トゥアレグ人のグリオによる冠婚や祝祭のダンス音楽、“タカンバ”、そのタカンバの代表格と思しき、アバロウ・ヤタラ率いるアル・ビラリ・スーダンの新作、グループのリーダーであり3弦のテハルダント奏者、アバロウ・ヤッタラの名をタイトルに冠した作となりました。
このアバロウほか息子や親族から成るグループのメンバー達は、トンブクトゥで何世代にもわたり音楽と工芸を司ってきたグリオ、語り部の一族だということです。本作、内容的には>こちら、5年前の前々作に近いでしょうか。低音の瓢箪打楽器、カラバッシュの重いビート、時に拍子木とか木魚みたいな乾いたバックビートも交えつつ、アバロウ・ヤッタラの、どこか津軽三味線にも似た?指使いの、アタック鋭い倍音を紡ぐアンプリファイドされたテハルダント&そして、飾らず、歌う言葉を投げ出すような弾き語り、全4曲が収められました。
特に15分近い冒頭曲、聴き応えありますねえ。3弦のテハルダントが刻々と紡む反復フレーズ、時にシャウトも交え聞かせるその嗄れた語り歌は、何というのか? ずっと、同じことを繰り返しているようにも、常に変化していくようにも聞こえるその反復のあり方には、北米のブルースになぞらえ、大まかに “砂漠のブルース” と名指され流通してしまったことで、ある意味、隠されてしまったかも知れない何か別のもの? サハラにまつわる、空恐ろしいような古い響きが聴こえるような気もします(幻聴?)。

1. Sibo Adare Niba
2. Bagui
3. Kandjai Mali
4. No. 27

>こちらで紹介されていました(無段リンク陳謝&感謝)!

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