ジンタらムータ with リクルマイ / 平和に生きる権利

 

ひとりのシンガー・ソングライターの気配を感じるため、南米チリの首都、サンチアゴに行ったことがある。ビクトル・ハラ。ヌエバ・カンシオン(新しい歌)運動の担い手であり、73年に起きた軍事クーデターの際、軍部によって虐殺された悲劇のシンガーである。没後40年近く経った当時も、ハラの存在感はサンチアゴの街中から失われていなかった。ビクトル・ハラ、ボブ・マーリー、チェ・ゲバラ、マヌ・チャオ。2007年のサンチアゴにおいても、この4人はストリートのアイコンとして等しく敬意を集めていたのだった。
そのハラの代表曲が“El Derecho De Vivir En Paz”(平和に生きる権利)。静かな怒りと真摯な祈りが込められたこの唄を、放射能降り注ぐ〈3.11〉以降の東京で歌うこと。それはひとつの表現というよりも、平和に生きる権利を求める欲求の爆発とも、その権利を奪われ続けている人々に向けたエールとも言えるだろう。
これはジンタらムータとリクル・マイによる、2012年東京発のヌエバ・カンシオンである。平和に生きる権利を奪われ続けている彼らのための、私たちのための〈新しい歌〉である。
by 大石始(ライター/編集者)

演奏
■リクルマイ:ボーカル
■大熊ワタル:クラリネット、アルトサックス、キーボード、グロッケンシュピール(鉄琴)、コーラス、パーカッション、フィールドレコーディング (8/3官邸前抗議行動コ-ール、8/1石巻・川開き祭り花火大会)
■河村博司:ギター、ベース、キーボード、コーラス
■金子泰子:トロンボーン
■中尾勘二:ドラム、テナーサックス
■こぐれみわぞう:チンドン太鼓、コーラス
■小熊英二:コーラス

※ 特典ライヴ動画付

1 ジンタらムータwithリクルマイ(ver.)
2 ジンタらムータ(ver.)

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