3枚目のアルバム「Dancê」でラテン・グラミーを受賞している女性シンガー、トゥリッパ・ルイス。プロデューサーとしても様々な作品を手がける実弟のグスタヴォ・ルイス(g、b)を曲作りの相棒に、インディペンデントなシーンを席捲してきました。踊れるブラジル音楽を意識した前述の「Dancê」がリリースされた2015年から、エレクトロやエクスペリ・サンバ界隈で活躍するヒカ・アマビス(MPC, programing / トレス・ナ・マッサ、インスチチュート)、グラフティやストリート・アートを出自とするマルチメディア作家のアレシャンドリ・オリオン(per)、この4人のイニシャルを繋げ、出会いと実験をモチーフにしたプロジェクトがこのトラゴ。
その制作方法とは、トゥリッパが街中の雑踏風景やSNS上で共有した映像をループ再生してみせ、ヒカ・アマビスがこのループからベーシック・トラックを構築、アレシャンドリ・オリオンがMPCでビートを追加したところに、グスタヴォがbとegをオーバーダブ、本製品に封入されているトゥリッパのイラスト・コレクションから楽曲のイメージにあうものを選出し、歌詞とメロディーのイメージを膨らませるという具合。オープニング・トラック”Porvir”には、アントニオ・ロウレイロ(vib)、ヤニエル・マトス(cello)、セルジオ・マシャード(drs)が参加、実験性とダンサブルなポップ成分が共存した佳曲に仕上げています。
m-3″Dolores prestes a levitar”の楽曲タイトルはトゥリッパのイラストから、歌詞の内容はパラナ州に実在した風船おじさん(神父)の新聞記事から着想を得たそう。m-6″Fumante padrão”には昨年逝去されたジョアン・ドナートがepでゲスト参加。タイトル・トラックのm-8″Trago”には、ホドリゴ・ブランダォンが参加して散文詩ラップを聞かせるほか、米国のフルート奏者ブライアン・ジャクソンがepでゲスト参加。偶然の発見や出会いから数々の手の込んだプロセスを経て、コンセプチュアルに編まれた8曲。前衛的な実験精神と華やいだポップ・センス、小躍りしたくなるビートとオブスキュアな世界観、情熱に満ちた衝動と詩的な佇まい、これらがアルバム内に共存する稀有な傑作。(〜サプライヤーインフォより)