19世紀前半、メキシコの独立を記念し、30年の歳月をかけ建設されたというメキシコシティの象徴的文化施設、 “ベジャス・アルテス宮殿” (Palacio de Bellas Artes) のホール、サラ・プリンシパル(Sala Principal)で、23年3月に催されたライヴを収録したリラ・ダウンズのCD & DVD2枚組。内容的には、メキシコ女性を讃えるという趣旨において、メキシコ音楽の多彩な展開を、パノラミックなミュージカル・ショー仕立てで歌い綴った作、とでも言えるでしょうか?変化に富んだカラフルな曲の並びの中にも、メキシコならではの混血性がダウンズの歌声に哀感をそえています。
その母は、オアハカ・インディアンの血を引き、父はスコットランド系米国人、シネマトグラファー(撮影監督)として活躍したそう。そんな両親とともに14歳の時、米国西海岸に移住、西洋古典声楽を学んだというダウンズでしたが(時として朗々と歌い上げるダウンズの歌い口には、その声楽的な下地が見え隠れしているわけですね…)、16歳の時に父を亡くし、一時、故郷のメキシコ南部、トラアヒコに戻ります。が、その後、再び渡米、ミネソタ大学で文化人類学を学んだそうです(ミシュテカ、サポテク、マヤ、ナワトル、タラスコ語といった様々な先住民の歌を、レパートリーとして来たダウンズの、ある意味、文化人類学的な方法論にも納得がゆきますね…)。
そんなリラ・ダウンズの過去のレパートリーの集大成とも言えるこのライヴに華をそえるゲストには、ダウンズとはまた一つ違うかたちで、メキシコ音楽の同時代的な展開に臨んできたナタリア・ラフォルカデ、はじめ、メキシコのオペラ界を代表するテノール歌手、ハビエル・カマレナ、あるいは詩人でジャーナリスト、俳優として彼の地で有名なマルドニオ・カルバージョのポエット・リーディング等々、そして加えて、マリアッチ、バンダ、ソン・ハローチョ、ノルテーニョ、バルス、ボレーロ、ホローポ・ジャネーロ、クンビア、ルンバ、ロック、スカ、アバネーラ等々といった様々な曲想を、入れ替わり変化に富んだバッキングで曲ごとに盛り上げる多勢の演奏家達、そしてダンサー達…云々、というわけで、これは、久々に色々と楽しめるヴィデオ、そしてライヴCDになっています。
CD
1 Semilla de Piedra
2 Son Del Chile Frito
3 Espina
4 Naila
5 La Martiniana -Feat. Natalia Lafourcade
6 Tortolita
7 El Último Trago
8 Cucurrucucú Paloma -Feat.Javier Camarena
9 Mandimbo
10 Tiembla
11 Urge
12 Mezcalito
13 La Cumbia Del Mole
14 Cariñito
15 La Llorona
16 Zapata Se Queda
17 Paloma Negra
DVD
1 Semilla de Piedra
2 Son Del Chile Frito
3 Espina
4 Naila
5 La Martiniana -Feat. Natalia Lafourcade
6 Tortolita
7 Toda la Noche
8 El Último Trago
9 Cucurrucucú Paloma -Feat. Javier Camarena
10 Tirineni Tsisiki
11 Mandimbo
12 Tiembla
13 Urge
14 Las Horas Perdidas (Poema) -Feat. Mardonio Carballo
15 Mirror
16 Mezcalito
17 La Cumbia Del Mole
18 Cariñito
19 La Llorona
20 Zapata Se Queda
21 Paloma Negra
22 Entrevista con Lila Downs