ROKIA TRAORE / TCHAMANTCHE

今は亡きアリ・ファルカ・トゥーレに捧げられたマリ出身の女性歌手、ロキア・トラオレの4作目新作です。で、内容ですが、出だしの数曲がブルージーなセミアコ・ギター弾き語り風&エフェクトによる極端に内省的な雰囲気の作りなので、ちょっとびっくりします。ロキアの歌声はややブルースやR&Bっぽい発声、マリのトラディショナルな唱法に通じる歌い口等を散りばめながらも、これまで以上に、囁くような調子に終始することが多くなっています。多重録音によるポリフォニックなコーラスや、ギター、ンゴニ、パーカッション、ドラムス、ベース等からなる最小限の音で作られたバッキングも、直接的なアフリカらしさ、マンディングらしさを奏でるというよりも、ロキアのプライヴェートな感覚が増したモノローグっぽい歌声に、必要最小限の音をそえることにつとめている、とでも言った方がいいでしょうか。ラストには、スティールパン・ソロのみの伴奏で歌う曲につづいて、なぜかCDにクレジットされていないブルース調ギター・バンドによるビリー・ホリデイの英語カヴァーが収録されています。….