ロジカルに研磨・革新されたボサ・ノヴァの新しい形、サンパウロを舞台に声とギターの父娘デュオが実現したアルバム「PÓS VOCÊ E EU」から4年。バッハにシューマン、シューベルト、アカデミックな欧州産クラシカル音楽をブラジル音楽一流の手法で解釈し、スペインのベートーヴェンと呼ばれた19世紀のギター弾きフェルナンド・ソル作品から、ジョビンにヴィズニキ、フランシス・イーミまでを格調高く快演。
ジョアン・サビアの隣でegを弾いているフレッヂ・フェヘイラとの公私に渡るパートナーシップでミナス佳曲からシャンソンにタンゴをvo + egのデュオで体現した1st、そしてサンパウロの前衛音楽ムーヴメントの先達アヒーゴ・バルナベー、ルイス・タチとの共演盤、最近ではジャズ・ピアノ奏者ロウイッジ・ウーレイの作品への客演と、着実にキャリアを築くリヴィア・ネストロフスキー。そして、ソロ・ギターのジョビン歌曲集、ベンジャミン・タウブキン(p)との共演盤、セルソ・シンとのデュオ作品などでギターのマエストロとしても広く認知され、サンパウロ州交響楽団の芸術監督も務めるアルチュール・ネストロフスキー。本作ではこのアルチュールがバッハ、シューマン、シューベルトのクラシック小曲にポルトガル語の歌詞を付けて繊細なギター・アレンジを施し、娘のリヴィアがシアトリカルに唄い回すという内容ですが、音楽風景を撮影した写真集を出版し、詩作に関しても秀でたアルチュールの哲学的なことばを、父のものでなく自分のものとしてアウトプットするリヴィアのインタープリーターとしての実力もお見事。シューマン”詩人の恋1″とエリゼッチ・カルドーゾで有名になったサンバ”Canção de amor”を繋げたm-2、そしてシューマン”詩人の恋2″とA.C.ジョビン=ヴィニシウス・ヂ・モライス”Janelas Abertas”を繋げたm-3、フランスの作曲家・ピアノ奏者サン・サーンスのm-6″Cisne”(白鳥)の郷愁漂うブラジル流カヴァーに、ショーロ調のアレンジにライト・オペラ的に役分けが為された自作曲m-9″Lost in translation”では父娘のデュエットも聴かれます。自作曲で独特の哲学的佇まいを放つm-11″Amor Maturado”や、共演も多いゼー・ミゲル・ヴィズニキ作m-7″Mais Simples”、フランシス・イーミ=ヴィニシウスのm-14″Anoiteceu”など印象深いシーンを幾つも見せてくれる、シンプルで思慮深く美しい一枚。ジャケットになっているダニエル・サンボ-エシュテールの半身ひねり飛び込みをする水泳選手を描いた絵画は、欧州クラシックと南米ブラジル音楽を違和感なく混ぜ合わせ結晶化した本作を端的に表していると言います。
〜サプライヤーインフォより