〜以下、ボツになったCD解説の前口上です。なんだかミもフタもない感じの文章なので没…、既に伸ばしに伸ばしてもらった印刷所締め切りは明日という段階での英断でした??(って、モ〜ッ、ほんとスミマセンでした!)。
先に当方エル・スール・レコーズからリリースさせていただいたCD”FEELING FEELIN'” は、おかげさまでご好評をいただきました。いろいろ感想やお話を聞いた中でも嬉しかったのは、熊本の方のバーや、中野あたりの焼き鳥屋さんで“FEELING FEELIN’”のCDがリピートでかかりっぱなしになっていた、なんて耳にしたことで、なんだか、少しばかり、してやったりという気分にさせてもらったものです。
何が、してやったりなのかといえば(いきなり大風呂敷を広げるような話で恐縮ですが)、いわゆるR&Bやロックンロールの積み重ねの上に、エルヴィス・プレスリー、そしてビートルズというスターが登場して以来、世界の音楽シーンはロックンロールを中心に回り始めたことは確かで、その後のディスコでもパンクでも、ヒップホップでもいいんですけど、結局、ロックンロールが確立したジェネレーション・ミュージック、つまり若い世代による若い世代のための音楽の流れが、少なくとも20世紀の終わり頃まで、世界中の音楽市場で猛威 (?) を振るっていたと感じはします。で、そんな流れの中で(少なくともここ日本で)、一番聞かれなくなってしまったのは、ルンバやマンボ以来、広く世界中で親しまれていたはずのラテン音楽であり、中でもキューバ発祥のバラード風音楽、ボレーロが一番忘れられてしまったのじゃないかと、そう思ってもいましたので、そのボレーロの一つの傾向、フィーリンという歌謡音楽のオムニバスCDがたとえ2軒といえど飲み屋さんでずっとかかっていたなんて話は、コレは当方としては、一歩、目標達成の観があります。
もちろん自分もロックには随分お世話になって来ました。どちらかと言えば、「東京ナイトクラブ」だとか「ウナセラディ東京」とかいった一連のボレーロ系歌謡曲たちが繰り広げる世界観に共感を持てずに過ごして来た時期が長かったわけですけれど…(今は絶賛共感中?)。
でもまあ、それにしても、ロックンロールもずいぶんと年をとりました。20世紀の終わりが始まる頃には、ロックの描いて見せてくれる世界観というものにもついて行けなくなり、言ってみれば、ある種、掟破りのリスナー地獄 (?)、過去の音楽も同時代の音楽も、世代限定音楽も地域限定音楽も何でもあり、可能な限り聴きまくろう、あとは自分の好みだけ、というような無謀な音楽の聴き方を始めてしまったのは自分だけじゃないでしょうね(幸い自分は、潰れてもほぼ自分が困るだけ? の小さなレコード&CD店を営んでいるので、それが仕事にもなって来たわけですが)。一般には、いわゆる“ワールド・ミュージック”や“クラブ・ミュージック”という括り方が、そうしたリスナーの態度を表していたんじゃないかと思います。
そういう音楽の楽しみ方の姿勢、態度に立って見渡してみれば、00年代のボサノーヴァ復権の次は、当然ボレーロ復権だと思い至ったりもして、まずはボサノーヴァと同じように洗練された(否、それ以上かな?)フィーリン系ボレーロから行ってみよう! という企画が、当方の目論見でした。
というけで、とにかくここ数年間、ボレーロをよく聴きました。それはそれで有意義なことなのか無駄なことなのか、よくわからないものの、ボレーロを聴きながらウマイ酒が飲めたのだから、もう、それで十分。そんな気分のお裾分けみたいなものかも知れませんが(お裾分けだったらタダにしろ!と怒られそーですが)、本CDをお楽しみいただけたら幸いです。
