2008年に69歳
で亡くなった三味線シンガーソングライター桃山晴衣の2000年作。
「梁塵秘抄」は後白河法皇撰による、いまだかつてみられないほどの偉業ともいえる歌謡集成であり、歌詞篇十四巻と、伝系、唱歌法など口伝を記述した十巻と、合わせて全二十巻から成っている。歌謡史上の黄金時代であった平安末期、大衆の間に最も広く行われた「今様」諸歌謡を集めた「梁塵秘抄」は、これらが中世諸歌謡の源泉であることを私たちに告げてくれる。紫式部日記や枕草子、兼好の徒然草などに語られていながら、まぼろしの書であった梁塵秘抄は明治四十四年、その一部が発見され、大正元年佐々木信綱の手により単行本として出版された。これによって現存は、歌詞篇巻第一と第二、口伝集第一と第十。それと現本に存在したかどうかわからない、後に関連資料として追加されたと思われる口伝集第十一巻から第十四巻がある。 桃山晴衣「梁塵秘抄について」より