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 2009年2月15日 トルコ/アナトリア民謡系女性歌手2008年作からのセレクションです !!
 というわけで突然ですが、主にハルク(チュルク)系の女性歌手ということになります。けれど、より民謡色の強い、これまで、あまり日本では紹介されて来なかったと思われる女性歌手達を(特に情報もないので、きちんとしたご紹介はできないのですが)、去年から今年にかけての新譜においてセレクトしてみました。ややローカル or マイナー、ということになるのかも知れません、イスタンブールの大手CD屋さんでは並ぶことも少ないという、あまり聞いたことのないレーベルの歌い手が結果的に多く並びました。まあ、ようするにザラとかギュライとか、日本のトルコ歌謡ファンにも評判が高い、そうした女性歌手がお好きな方々のための、もう一歩突っ込んだセレクション?を意図してみたのですが...、世界のお国柄を重視した、いわゆる伝統派?女性歌手マニアの皆さんにも喜んでいただけるんじゃないかと、さて、どのようなものでしょう?
 アラブの女性歌手達ももちろん素晴らしいことに変わりないんですが、トルコもやっぱりイイ!ということを、ご提案したかったわけです。一晩かけて、とある海外サイトで試聴しながら厳選した(酔った勢いも手伝って、という意味ですが)12アイテムです!
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 <1> SEYHAN GULER / ELLERIN OLDU (ARDA MUZIK) 2008 CD  ¥2050 再入荷!http://www.youtube.com/watch?v=-zJlwPVw3R8
 http://www.youtube.com/watch?v=dhUYQJAVA18&feature=related
 http://www.youtube.com/watch?v=0XKDDdf40fU
 http://www.seyhanguler.com/anasayfa/index.html
 当店的には、今回の一連の入荷のきっかけとなった女性歌手です。この作がセカンド・アルバムのようですが、1976 年生まれの民謡系女性歌手、曲によってピアノなんかも使いながらPOPなムードも加味しつつ、実に、何かこう、しっとりとしているじゃないですか...。かまえたところもなく力の抜けた歌い口ながら、この濃厚な情感、なかなかのものですよ。ギュライやザラよりも、何ですねえ、人情というものを感じさせてくれますねえ、って、勝手なこと言ってますが。
 
 <2> SELDA / HAZAN (DFM PROD.) 2008 CD ¥2050 再入荷!
 試聴>> ★ ★ ★ ★ ★
 トルコでセルダというと、あのオズギュン系大物おばさん歌手セルダ・バージャンということになるんでしょうが、おかげで youtube で、こっちのセルダを見つけようとしてもオバサン系セルダばっかり出て来て、見つかりません...。というようなことはともかく、おそらくこの作がデビュー作?サズの弦音がバッチリ効いたオーソドックスなバッキングで、伸び上がるような若々しい歌声を聞かせてくれます。若々しい民謡!?その辺を望んでいた方もいらっしゃるんじゃないかと。
 
 <3> DILBER AY / ELLERIN OLMUS (DE-KA) 2008 CD   再入荷待ち
 http://www.youtube.com/watch?v=QRhdOUfwSfY
 http://www.youtube.com/watch?v=eQk7rT5AuQ0&feature=related
 この人は、そのルックスの通り、その歌い口の通り、ヴェテランですね。1982年デビューということで、それ以前にも、南アナトリアのフォークロアを演じるグループで歌っていたようです。南アナトリアといえば、シリアにも近くクルド系住民も多いかと思いますが、ちょっとクルドやアラブ音楽にも近しいような歌を聞かせています。それにしてもディープですねえ、“FUKARA"と題された無拍子の、即興声楽風トラックが圧巻です....。
 
 <4> ARZU / NE FAYDA (IBER MUZIK) 2008 CD   再入荷待ち
 http://www.youtube.com/watch?v=pxhNrqkyjT0&feature=related
 http://www.youtube.com/watch?v=ixlUUX1P6e4&feature=related
 若手には違いないんでしょうが、既に4〜5枚のアルバムはリリースしている女性歌手だと思います。現地トルコでは、かなり人気のある女性歌手と聞いています。ま、それなりにお顔も可愛いのですが、歌の実力も相当なものです。ちょっと、ヴァイオリンや各種管も加わったアルメニアっぽいアレンジ&伴奏で聞かせるバラードがナイスですね。
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 <5> NIGAR / BIR ZAMAN (OZ PROD.) 2009 CD 再入荷待ちhttp://www.youtube.com/watch?v=4eYFnntfLdE
 http://www.youtube.com/watch?v=QAI1SBRSYyg&feature=related
 この人も、若手、というかコレがデビュー作でしょうか?他の作品はないようです。クリップを観ると、ちょっと貫禄のある女性歌手に育ちそう?歌声にも奥行き、というか包容力?がありますね。いかにも民謡的なナンバーに並んで、POPな曲も挿入されたアルバムです。
 
 <6> MEDINE KAPLAN / TURUKU DOSTLARINA (KAR MUZIK) 2009 CD 再入荷待ち
 試聴>> ★ ★ ★  ★ ★
 参考>>http://www.youtube.com/watch?v=KdUTLT4cVsA&feature=related
 「トルコの女どもだち」?とでもいう初々しいタイトルからして、若手新人かと思いましたが、そうでもないようで、なかなか堂々とした歌い口です。どうも、クルド系の女性歌手じゃないかとそうとも思われます。とすると、タイトルの意味もまた違った意味になるかと...。
 
 <7> BASAK KAR / LAYIK DEGILSIN (F&A) 2008 CD ¥2050 再入荷!
 http://www.youtube.com/watch?v=A4juPXdzCa8
 http://www.youtube.com/watch?v=DjvpdH2hO4M&feature=related
 どうもリズム的に、アルメニアっぽく聞こえる表題曲ですが、それはともかく、こちらも若手新人と思われます。それなりに、やや知られたレーベルからということで、クリップともども、そこそこヒットしたアルバムだったようです。ハスにかまえたジャケ写ともども、ちょっと物憂げな歌い口が悪くありませんよ。
 <8> NILUFER SARITAS / CAN GIBI (SEYHAN MUZIK) 2008 CD ¥2050 試聴>> ★ ★ ★  ★ ★
 参考>> http://www.youtube.com/watch?v=YXOBgBVz5Vs
 こちらも、既にヴェテランのハルク系女性歌手だと思います。そんなに美人というわけではありませんが、オーソドックス一直線で、クセのない、切ないような歌い口がいいですね。演歌なムードが漂うステージ風景もOK、こんなショー、生で観てみたいものです。
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 <9> GONUL DILAN / BENI ALAN YASADI... (SEYHAN MUZIK) 2008 CD ¥2050 再入荷待ちhttp://www.youtube.com/watch?v=7PUO78qbFSk
 試聴>> ★ ★ ★
 この若手女性は民謡系というよりも半ばPOP系でしょうか?けれど、バッキングなどの細部に漂う古風なテイスト、見逃せません。リズミカルな発声にも民謡的なテイストが香っています。もちろん、ハルク系バラード・タイプで聞かせる歌唱力は一級です!美人だし。
 
 <10>  TURKULERIN SENFONISI / SA (DMC) 2008 CD   再入荷待ち
 http://www.youtube.com/watch?v=IjT74BEgkgk&feature=related
 http://www.youtube.com/watch?v=rUhDuqH08vw
 この人もご容貌からしてヴェテランになるかと思います。伝統的な要素を上手く取り入れながら、ノスタルジックかつユニークなPOPを作りあげています。ハルクらしい端正な歌い口とは対照的に、ユーモアに富んだ物語性のある歌や、古い曲のモダンなカヴァーなど、ヒネリが効いてますね。
 
 <11> ROJIN / DEQ, DOVME (F&A)  2009 CD  再入荷待ち
 http://www.youtube.com/watch?v=j0JvGgqHDTk&feature=related
 http://www.youtube.com/watch?v=sde7YZez1j0&feature=related
 日本でもベリーダンサーの皆さんから、それなりに人気があると聞いています。ハルク系とは言えないでしょうが、自らの出自であるクルドの民謡的な要素を上手く盛り込んだエキゾティックなトラックが並んでいます。クールな歌い口、濃厚な歌い口、どちらも聞かせる歌唱力も相当なものです。
 
 <12> MERCAN ERZINCAN / MIHMAN (GUVERCIN MUZIK) 2008 CD 入荷待ち
 参考>> http://www.youtube.com/watch?v=Wcsb58sCrjs
 この人はもうハルクというよりもアシュク、サズ弾き語りによるトルコの吟遊詩人の伝統をモダンな形で伝えている人、と言った方がいいでしょうね。なかなか美人だし、涼しげな歌もOKです。今回は少量入荷となってしまったので、再入荷後、改めてご推薦したい人です。
 というわけで、いかがでしょうか?サナート/古典系というと、やはり中東につながる感覚が濃いわけですが(というか、中東〜アラブの古典音楽が逆にオスマン・トルコ古典の影響も受けているわけですが)、ハルク/民謡系では、イランや中央アジアにつながるような感覚が濃くなるトルコです。その辺を楽しんでいただけますと幸いです。
 で、今回、ご紹介したような歌い手達は、例えばイスタンブールあたりのダウンタウンの大きなCD屋さんでは見つからず、もっと郊外というか街角の、あるいは田舎の、ご近所さんを相手に商売しているような小さなカセット&CD屋さんで、メインとなっているような歌い手達です。要するに日本で言えば、Jポップではなしに演歌系の扱いということですね。ただし、最近は多少上向きとは言え、日本の演歌と違って、トルコではハルク/民謡系のこのジャンルは、ものすごい数の歌い手が存在し、広く大きな人気を集めているわけで、まあ、いうならば現地では一部の学生さんしか聞かないという“ダブルムーン系”の対極に位置するような、本来の大衆音楽という位置づけですね。タルカンもセゼン・アクスも聞かないようなおじさん、おばさん達が普段楽しんでいる歌謡曲、ということになるでしょう(とはいえ、そんな中からエル・スール的オススメCDを選んだわけで、現地での人気度を反映したセレクションとも言えないわけですが)。
 その本来的な大衆音楽であるハルクを、現在的に再構築して日本のリスナーにも知られるようになったのが、ザラとかギュライだったわけですね...。
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