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2007年3月13日 タンゴです。オススメします。

"EL SUR" という名の老舗タンゴ・バーがブエノスアイレスにあるということは知っていました。で、その連想からか、よくタンゴの専門店かと勘違いされてご来店になるお客さまがいて、でも、ご存じのように当店はタンゴはあまり品揃えしていないものですから、がっかり、という顔をされて帰って行かれる...。でもなあ、がっかりされてもなあ...、申し訳ないとは思いつつも、正直なところ、古い録音のタンゴに関しては別として、昨今のタンゴの録音に零細ワールド・ミュージック専門店のバイヤーとして耳を傾けるべきものがあるのかどうか、正直なところ勉強不足でわかりませ〜ん、という感じでしたが、このフランスのレーベル“マニャーナ”がリリースしている幾つかのタンゴ・アルバム(録音はすべて於ブエノス)、題して "Tango of Tomorrow" シリーズ、う〜ん、結構わかりやすいし、おもしろいんじゃないでしょうか、なかなか...、当店的にも(いつものつまみ食いですが)是非、品揃えさせていただこうと思ったしだいです。加えて、このレーベルのCD、変形のダブル紙ジャケが凝りまくった飛び出す絵本?みたいになっているところも魅力的、CDジャケ・マニア?にも、ついでにオススメしてみたいところですが、いかがなものでしょうか。

 

<1> >>http://www.youtube.com/watch?v=U8Dx4OtwdhY

<1> MELINGO / SANTA MILONGA (MANANA) '04 CD¥2650 再入荷!

ま、幻想というか、ないものねだりと言われてしまえばそれまでですが、何より、モダーンなタンゴの少々面白くないというか、ものたりない感じの由縁は、上品なこと...。ブエノスアイレスという港町の娼館や酒場でヤクザな連中が生み出したとされるタンゴですが、近年のタンゴのどこを聞いてみても、そんなヤクザな雰囲気は伝わって来ません。が、このメリンゴという男性歌手、イナセですね。元ロッカーだったということですが、思い切り胡散臭い。声質はイタリアのパオロ・コンテ?もしくはトム・ウェイツみたいですが、原点回帰?開祖カルロス・ガルデルみたいなヴォーカル&ギター・タンゴをヤサぐれた感覚で聞かせてくれます。いつしか、インストゥルメンタリストの感性&テクニック競争?の場みたいになってしまったタンゴ界に、風穴を開けて欲しいものです。タンゴの成立に影響があったとされる19世紀後半のブエノス周辺に広がるパンパ(草原地帯)で盛んだったパジャドール(吟遊詩人)たちのミロンガ・スタイルにこだわった作、でもあるとのこと、1998年から2003年までの録音からセレクトされたベストCDだそうです。

 

<2> >>http://www.youtube.com/watch?v=SCBLsbH96z8

<2> CACERES / MURGA ARGENTINA (MANANA) '05 CD¥2650 再入荷!

こちらも原点回帰的作品と言えるでしょう。もともとブエノスに住んでいた黒人達のリズムによって生まれたともされるタンゴの原点〜“アフロ・タンゴ”を今に体現しようという異色アルバムです(キューバのハバネーラがブエノスに伝わりタンゴに変容したという説も有力ですが、どちらにせよ、そのシンコペートするリズム感がアフロ起源であることは確かでしょう...)。カセレスことファン・カルロス・カセレスは1936年ブエノス生まれ、60年代後半からはパリでも活動しているそうですが、タンゴの原点にこだわる異色のトロンボーン&ピアノ奏者です。ウルグアイに伝わるカンドンベや、アルゼンチンのミロンガ、チャカレーラ等を独自に変奏、キューバやニューオーリンズあたりのカーニヴァル音楽的な要素も盛り込みながら、幻想のアフロ・タンゴをブラス&バンドネオン&パーカッション、そしてアフロ系歌手も招いて演じています。自らのスモーキーな歌声もかなりアクがあり渋いですね。時に、声質は違えどボラ・デ・ニエベのような弾き語りも聞かせます。この03〜04年録音のプロデューサーは、ヌエボ・タンゴの開拓者、ゴタン・プロジェクトのエドゥアルド・マカロフだというところも面白いところ、ですね。

 

<3> <4>


<3> DI GIUSTO Y CAMAERATA AMBIGUA / LA CAMBIADA (MANANA) '04 CD 再入荷待ち
<4> MOSALINI Y QUATUOR BENAIM INTERPRETAN BEYTELMANN / CLASICO Y MODERNO (MANANA) '06 CD ¥2450
再入荷!

<3><4>に関しては、ポスト・ピアソラ系タンゴということになるんでしょうね...。ダンス音楽でも歌謡であることもやめたタンゴという音楽の、アストル・ピアソラ以降の進化の道筋を模索している音、とでも言える2作でしょうか。<3> クラシックとジャズを学んだピアニスト&弦楽五重奏団によるフォルクローレのリズム、旋律を使った室内楽的タンゴ、ウアイノやチャカレーラ、カンビアーダといったタイトルの曲が並びます。ほどほどにジャズ指向のインプロ感覚が発揮されています。<4> ピアソラの後継者と目されるバンドネオン奏者モサリーニ&五重奏団〜ピアソラ楽団にも在籍したピアニスト=グスタボ・ペイテルマンを指揮/アレンジャーに迎えた作です。ピアソラの流れを汲むタンゴをさらに洗練させたような出来、との由。

 


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