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From Staff

2001年12月31日 2002年もよろしくお願い致します。

 ということで、今年も余すところ猪木祭の結果を待つばかりとなってしまいましたが、いろいろとお世話になった方々にはお世話になりっぱなしで、ご無沙汰している方々には引き続きご無沙汰しつつ、今年もどうやら終わろうとしていますが、とりあえず、皆様、どうもありがとうございました。来年も4日から店を開けますので、よろしくお願い致します。

  ところで、上の方に10枚のCDのジャケットを並べてみましたが、さて、これらは、どういう基準で選ばれたCDかと申しますと、2001年度『EL SUR 意外と売れてしまったCD/BEST 10』とでも申しましょうか、まあ、そこそこ売れるに違いないと見込んで品揃えしてみると、これが地味にロング・セラーをくり返し、何度も再入荷を繰り返したという、そういう感じのCDなんです....。とはいえ、うちみたいな小さな店ですから、売れる数といっても、たかが知れているんですが、それでも今だに地味に売れ続けているCD10アイテムということで、それは、まあ、とりもなおさず、内容がいいから売れ続けているんだろうと考えることもできて、『2001年度、意外といい内容のCD/BEST 10』と言いかえてもいいでしょうか....。と、相変わらず、まわりっくどいんですが、ただ、今年を振り返って売れ筋CDのBEST10を選んでみても、うちみたいな商売柄、おもしろくないんじゃないかと思いまして、そういうことです。

 で、1位は安東ウメ子さん〜アイヌの伝統歌なんです、これはイイ。どこか幽玄なトンコリの弦の響きもいいし、口琴=ムックリの濁ったような、澄んだような微妙な音色の加減もいい、ウメ子さんの歌がまたいい。アフリカ音楽でいえば、ピグミーの女声ソロみたいな飾りのない透明さを感じさせてくれる。全編、極上のヒーリング音楽というか、癒し系.....、というか、アーティスティックな音のかけらもないところが、なんだか気持を洗ってくれますね。2位のマルタ・クビショワはチェコの女性歌手です。1960年代の終わりに「ヘイ・ジュード」のカヴァーを歌って、当時の民主化運動を象徴する歌姫になった人です。その60年代末頃の録音が集められたCDがコレなんですが、今年、NHKの番組『世紀を刻んだ歌、ヘイ・ジュード』で放映されて、本CDを探している方も多いらしくて、当HP上のベスト・セラーになってます。時代背景や社会事情もあるんでしょう、なんだか思いつめたような生真面目さと、「ヘイ・ジュード」という曲自体の持つ解放感が一体となって、いかにも当時の東欧らしい歌になっているような気がします。といっても、当時の東欧がどういう風だったのかなんて、わかりませんが。

 3位のフロール・デル・ファンゴはまさに拾い物という感じですか....。フランスで活動するメキシコ〜カリビアン〜アンデス系男女混成バンド、だと思われるものの、はっきりしたことはわかりません。でも、マヌ・チャオあたりの音をもっとアコースティックにして、カレクシコあたりをもっと明るくしたような音は、単純に楽しいし、フロントの複数女性歌手も悪くない。猥雑で明るい、架空の汎南米ミクスチュアー音楽といえるでしょう。初期のネグレスベルトあたりが持っていたリアリティーみたいなものも、多少、感じさせてくれます。4位のサインホーは南シベリア=トゥバの女性歌手で、どちらかといえばヴォーカル・パーフォーマーと呼んだ方がいいような、実験的〜前衛的な音楽に傾きがちな人なんですが、従来の聞き手を圧するようなホーミーまじりの呪術系民俗色は後退して、このCDでは、かなり肩の力を抜いた歌い口を聞かせてくれます。モスクワのオルタナ系ギター・バンドのシンプルな伴奏に乗せて、中央アジア的な旋律を歌うサインホー、いつになく笑顔が似合う雰囲気ですね。ジャケット写真の表情そのまま、でしょうか。5位、ジュネバ・セックはマリ=ワスル〜マンディング系若手女性歌手、若手といっても現地では既に何作かカセット・アルバムがリリースされているようですが、CDはこれが初めてだと思います。近年、マリの若手といえば、ロキア・トラオレやアビブ・コワテみたいな伝統再構築派、というか、再解釈派というか、いったんルーツから離れてしまった視線でルーツを見直すみたいな、良くいえばクール、悪くいえば知的?な歌手が多かった中、この女性は素朴というか田舎くさいというか、相対した時にリアルで不透明な土着的なものを感じさせてくれて、しかも歌がいい、適度にかわいらしく、適度にヴァイタルで、適度に哀感がある。つまり、ほどよい若い女性としての人情みたいなものを感じさせて、こうした感じは、今後、得難いものになるような気がします。

 6位、サルマ嬢はレバノンの若手女性歌手ですが、意外なことにボサノーヴァ・ナンバーを何曲か聞かせてくれます。アラブ歌謡でボサノーヴァというのは空前絶後という気がします。ジョビン・ナンバーをアラビア語でカヴァーするなんて、一体、どういうつもり?と思う方も多いでしょう。でも、まあ、考えてみれば、アラブ歌謡史上の大先輩、夭折した美人歌手アスマハーンのSP音源にはタンゴやラテンもありました。その事実を踏まえてみれば、このサルマ嬢、過去のアラブ歌謡が備えていた外来のポップ・ミュージックへの柔軟性を回復しているのかも知れませんね。7位のトンド、このグループは純アコースティックなタンザニアのギター系バンドで、女性歌手をフロントにしています。で、タイトルは”タンザニアン・クラシックス”、つまりタンザニアのポップ黎明期の有名曲を再現している内容らしく、これがなかなかいいんですね。今のタンザニアのポップといっても、それほど印象に残るものはないんですが、このトンド、ギター2本と打楽器3人、そして歌手3人という編成からもうかがい知ることができるように、どこにも無駄がなくシンプルで、ただ歌というものをリズミカルに聞かせることのみに徹している。そんな姿勢が、確かに、ある地域で一つのポップな感覚が誕生したその感じを、そのエッセンスを、表現しているようにも聞こえます。8位は、ただただレアーですね。カルロス・リラというボサノーヴァ界のビッグ・ネームのアルバムで、こんな埋もれていたオリジナル・アルバムがあったなんて、ちょっとビックリですね。もし、アナログが出て来たら、いったい幾らの値段がつくんだろう?なんて、商売がら心配になってしまうほどレアーなLPの復刻CDです。1970年のメキシコ録音だそうです。

 9位のCDは、1970年代エチオピアンど演歌コレクション!こんなDEEPなCD、いったい、いつ、どういうシチュエーションで聴いていらしゃるのか、お買い上げのお客様の日常生活を知りたいような気もしますが、まあ、人それぞれですから...。楽しいはずの一家団欒がこのCDのおかげで台無しになったとか、そういう苦情を受けたこともないし、まあ、いいんですけどね。10位は、キューバ出身、伝説の打楽器奏者にして作曲家チャノ・ポソ関連の録音やカヴァーを執念で集めたBOXセット!まさか、チャノ・ポソ関連の録音だけで3本分のCDが埋まるとは思っていなかっただけに、やっぱりびっくりしました。ブックレットも充実していて、飲んだくれの生活破綻者だったチャノが、酒場のケンカでナイフで刺されて死んだなんて、初めて知りました。  

2001年12月20日 ブラジル盤700枚入荷のお知らせ!

 .....とはいえ、700枚すべてがレアー盤ばらば、これは事件なのですが、ブラジルの、まあフツーの音楽マニアの人が買い集めて送ってくれた700枚なので、玉石混淆いろいろあります。当然、レアー盤ばかりではありません。というよりも、どちらかといえば、よく見かけるフツーのブラジル盤中古LPの方が多いかも知れません。だがしかし安い!例えば、当店あたりで、通常ならば¥2800ぐらいで売っている品物が¥1800 ぐらいで買える....!これは本当のブラジル音楽ファンには、たまらないチャンスかも知れません!?MPB〜サンバ〜ショーロ中心の700枚ということで、できるだけ安く売りたい。とはいえ委託販売なんで、それなりに制約はあるんですが.....。まあ、よくよく考えてみれば、全然たいしたことではないんですが、700枚もあれば、1枚ぐらいは、お気にめすものもあるんじゃないかと、そう思うしだいでありまして...。で、ここだけの話しですが、クリスマス・イヴの晩から店頭に出しますんで、よろしく!という、そういうことです。こんなページを見ている人で、しかもクリスマス・イヴに約束がなくて、しかもブラジル音楽のハシからハシまで、どうしようもなく好き、なんていう方は、たぶん、多く見積もっても3人ぐらいしかいないとは思いますが?その3人のための告知、ということで、考えてみれば、美しい告知です、ね。

2000年12月8日 マリア・クレウーザ、幻の?ファースト・アルバム入荷しました!

MARIA CREUZA/APOLO 11(JLP NO.9004)

 こういう商売を続けていると、中古レコードに関して、そうそうびっくりするようなアイテムには遭遇しなくなるものなんですが.....、いちいちびっくりしていると、疲れてしまうし、びっくりしたついでにトンデモナイ値段を付けたりして、恥をかいてしまったり、まあ、つとめてクールに、あらゆる商品に関して、いつでも適正な値段を用意できるよう冷静に対処すべきだとは思いつつ.....、でも、これには比較的、思いきった値段を付けてしまいました。コンディションは完璧に<MINT>だし、興味のある方、お値段に関してはメールにてお問い合わせください。

 ところで、このレコード・ジャケットにもなっているアポロ11号が、月面着陸を果たしたのは1969年7月のことですから、本マリア・クレウ−ザ初のソロ名義アルバムも、その時期に録音=リリースされたことは間違いないと思います。APOLLOの綴りが間違っていることも愛嬌ですが、レコードに針を落とすと、いかにもの、紋切型のスペイシーなシンセ音、というか、宇宙音を背景にして、しっとりとしたボサノーヴァが始まってしまうのには泣けて来ます。マリアのヴォーカルは後年と変わらず感情をおさえつつ涼し気でありながら、若々しさも感じさせて、なかなか充実してますし、裏ジャケの写真では未だ整形前の可愛らしいお顔も確認できるというオマケもついてます。ほとんどの曲を書いているのが、あのアントニオ・カルロス&ジョカフィのアントニオ・カルロスで、これも悪くない、というか相当にいい。ついでにデュオ・ヴォーカルもとっています。ポスト・ボサノーヴァ的過渡期のアルバムとして、かなり充実してます。このアルバム発表後、翌70年あたりに、マリア・クレウーザはヴィニシウス・ジ・モラエスに見い出されツアーに同行したりして、71年にはRGEレコードと契約、その後の人気はブラジル音楽好きなら御存知のとおりということになるんですが、少なくとも、これまで、おおやけに知られるところでは、そのファースト・ソロ名義アルバムは、1971年頃にトッキーニョ&ヴィニシウスとアルゼンチンで録音した”YO...MARIA CREUZA”RGE盤ということになっていたと思います。でも、違ったんですねえ。それにしても、マリアほどの人気歌手のファースト・アルバムが、なぜ、これまでLP時代にも、CD時代に入っても再発されることがなかったのか、これは謎ですが、でも 本盤のレーベル所在地はバイ−アのサルヴァドールになっていて、JS. DISCOSというマイナー会社ですから、たぶん、ほどなく潰れちゃったんでしょうね、レーベル自体が。そういうことだと思います。そうだとすれば、当然、マスター・テープも残ってないんでしょうね。まあ、よくあることです。という推理というか、勘繰りが正解ならば、いやがうえにも本盤の付加価値は高まるわけで、当店としては思いきって付けた値段も、納得していただけるんじゃないかと、どのようなものでしょうか.....。

 

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