2010年3月20日 from ZAMBIA
〜CDRですけど、何か...、
というわけで、ジャケット等、かなり手を抜いた作りの CDR なんですけど(音質は特に問題ナシ)、なかなか聴けない貴重なアフリカの現地音源が届いていますので、ご紹介させてもらいましょう。で、このほどコンゴやジンバブウェに隣接する南部アフリカ内陸の国、ザンビアを旅されて来た>>サカキマンゴーさんに買い付けていただいた CDR〜現地で盛んな音楽ジャンル“カリンドゥラ”シーンにて人気ナンバー1、その名もマションベ・ブルー・ジーンズの08年作です!
なんというか、その“マションベ”という名の響きもかなり強力ですが“ブルー・ジーンズ”というボトムを組み合わせることで、さらにインパクト倍増!もう、敏感な方なら、はやばやと名盤の予感も起ころうというもの....??
<1> MASHOMBE BLUE JEANS / MAKALI ONE (RADIO CHIKUNI) 2008 CDR 品切れ
ジンバブウェとの国境地帯を流れるザンベジ川の流域に住まうトンガ人(バントゥー系)による、ハンドメイドのギター&ベース&ドラムセット、そして各種打楽器から成る生音バンドということで、以前、オランダSWPからリリースされていた>>『ザンビア・ロードサイド』あたりを愛聴されている皆さんなら、ああ、あーゆう感じね、と思われるかも知れませんが、まあ、そーゆう感じです。ただし、ロードサイドのバンドでありながらこのマションベは、ザンビアといえどまばらにはナミみいるだろう電化バンドを差しおいて、南部ザンビア/ザンベジ流域のみならず全国区の人気を博しているとのこと。で、試しに googleしてみると wikipedia もあるじゃありませんか!
というようなことはともかく、このマションベ・ブルー・ジーンズ、うまいか下手かといえば、下手でしょうな、やっぱり。同じく手作り楽器ということになると、スタッフ・ベンダ・ビリリとかコノノNO.1とか、そういうキンシャサ一派が広く知られるようになりましたが、その辺と較べてみても、もっと素人っぽいかも知れません。曲ごとの変化にも乏しいと言わざるをえません。が、ひとあし先に聞いていただいたあるお客さま曰く、ヒュー・トレイシー・コレクションのギター・ミュージックがそのままバンド・スタイルになって現代にあらわれたみたいですねえ、とのこと〜まったく言い得て妙かと思います。
コンゴリーズ・ルンバのダンス・パートのようなバスドラ風リズムと各種小刻みな打楽器リズムがクロスする中、ヴァイタルかつぶっきらぼーなリードが歌い、不揃いな男女混声コーラスがそれに応えます。まるでウクレレのストロークのように響くギター類アンサンブルもイイ味ですが、ベンガ・ビートを想わせるブンブンと軽快な音で演奏を引っ張って行くベースが何とも小気味イイ!(その手作りベースを指すとも、ベースやギターのフィンガー・ピッキング奏法を指すともいう“カリンドゥラ”という名が、今現在この手のバンドの音楽ジャンル名としても流通しているようですが)が、なにはさておき、〜とにかく溌剌としています。その溌剌さ加減は、ちょっと現在のアフリカ音楽シーンには見あたらないほどです。野放図とでもいうべきでしょうか。
ラジオFMチクニ主催の炎天下フェスティヴァルのステージでド〜ンとやってるマションベ・ブルー・ジーンズ!なんともカッコイイですなあ。
<2> MASHOMBE BLUE JEANS / MAANU AANU NOBASANKWA
(RADIO CHIKUNI) 2007 CDR ¥2450
同じくマションベ・ブルー・ジーンズの07年作です。リズム・セクションがやや控えめで、より『ザンビア・ロードサイド』風の演奏と言えるでしょうか。ハンドメイドのギター類中心の演奏で、その分、野性的というか突発的なPOPとしての熟成以前の、やや繊細なフォークロア風味が伝わるような作かとも思います。ひしゃげたようなコーラスと早口ヴォーカルがイイ味出しています。
<3> GREEN MAMBA / MOYO TAUKKALI MUKAMBA (RADIO CHIKUNI) 2008 CDR ¥2450
南部ザンビアで広く愛されているFM局“ラジオ・チクニ”主催するところのカリンドゥラ音楽フェスで登場したグリーン・マンバという、やはりトンガによるハンドメイド楽器バンドの08年作です。〜同じフェスに出場し人気を得たマションベ・ブルー・ジーンズのライヴァル・バンドだということですが、マションベみたいな突き抜けたPOPさには欠いているものの、よりフォーキーなカントリー・ダンス調!?やはりウクレレとかマンドリンを想わせるハンドメイド・ギター類の重奏と、ややのほほんとしたベース音がツービート風のミディアム・アップなリズムを醸す中、甲高いコール&レスポンスによる歌声が、いかにもカントリー・サイドっぽいのどかなダンスを誘っているわけです。フォークロアな香り高いカリンドゥラと言えるでしょう。
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ところで1970年代以降、当時盛んだったという“ザンロック”という欧米の影響下に育ったPOPばかりでなく、自国ならではの音楽を育てようという国の政策のもと、伝統的なリズム感(〜このリズムをカリンドゥラと呼ぶという説もあり)を活かしたカリンドゥラと呼ばれた音楽が80年代にかけ生み出され流行したという事実もあるわけですが、基本的にはそうした70〜80年代の原カリンドゥラと今回紹介した現カリンドゥラは、コンゴリーズ・ルンバに南アのズールー・ジャイヴとか東アフリカのベンガを足して割って素人っぽくしたみたいな感覚において同一、というか同根の音楽だと思われます。が、長期のザンビア経済低迷の中で、エレキ・バンドさえ少なくなってしまったのか(少なくとも80年代のカリンドゥラはエレキ・バンドが主流)?そんなザンビアの世の移ろいに応じたハンドメイド楽器バンド群なのか?謎は謎として“カリンドゥラ”、興味深い音楽であることは確かですね。
というわけで以上、限定入荷ながら、嬉しいザンビア土産〜サカキマンゴーさんに感謝!
ホント、まだまだ知らない音楽で満ちてますね、世界は...。
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