投稿2011年ベスト10
FUJI−Q SUEさんの



□OPIKA PENSE AFRICA AT 78rpm
□MARISA MONTE/O QUE VOCE QUER SABER DE VERDADE
□SEUN ANIKULAPO KUTI & EGYPT 80
/FROM AFRICA WITH FURY:RISE
□GRATEFUL DEAD/EUROPE ’72 VOL.2
□PEDRO LUIS/TEMPO DE MENINO
□FAIRUZ/THE EARLY PERIOD OF FAIRUZ
□常味裕司/光り輝く街
□TINARIWEN/TASSILI
□ASTER AWAKE/CHECHEHO
□RANG RALIYAN


< 寸評 >

とにかくいろいろあった大変な1年でした。
3.11以降、色々なものが色褪せて見えてしまいましたが、音楽に励まされ、
また音楽がこころを自由にしてくれることも実感しました。

2011年は、新譜旧譜それぞれヴァラエティに富んだ出会いがありました。
古い音源で言えば、「OPIKA PENSE AFRICA AT 78rpm」が
圧倒的なボリュームと丁寧な仕事で、リイシュー関連の白眉でした。
装丁も美しくクオリティの高い仕上げで本当に驚きました。
アフリカ大陸の魅力は無尽蔵で底知れないことを痛感させられます。

新譜については、「MARISA MONTE/O QUE VOCE QUER SABER DE VERDADE」はブラジル新譜の中で、
もっともよく聴いた1枚で、現在ブラジルの最良の姿を聴くことができる充実した作品でした。
他にブラジルものでは「PEDRO LUIS/TEMPO DE MENINO」が、
しなやかでいて力強く聴きこむほどに良さが増してくる作品です。

選外ですが、他のブラジルものでは
・ADRIANA CALCANHOTTO/O MICROBIO DE BRASIL
・VINICIUS CANTUARIA & BILL FRISELL/LAGRIMAS
・BETH CARVALHO/NOSSO SAMBA TA NA RUA
内容は凡庸でしたが、ベッチの久しぶりの新譜は嬉しかったです。

「SEUN ANIKULAPO KUTI & EGYPT 80/FROM AFRICA WITH FURY:RISE」は、
アフロビート全開でアフリカものの新譜では、もっともハマった一枚です。
フェラのDNAを確実に継承する頼もしさを実感します。

「TINARIWEN/TASSILI」は砂漠のブルース代表らしく充実の内容で安定感抜群でした。

「ASTER AWEKE/CHECHEHO」はアステル・アウェーケの様々な表情を楽しめるチャーミングな作品でした。

チュニジアから中近東の歴史が動いた1年でもありました。
・「カスバ広場からタハリール広場へ~夢は我らの武器」
(FROM KASBAH/TUNIS TO TAHRIR SQUARE/CAIRO AND BLACK)
という激動する中近東を音で辿るコンピレーションが出たことも覚えておきたい。

他にアラブ中近東ギリシア関係では、
・REMITTI/DOUBLE BEST
・NIKOS PAPAZOGLOU/SYNERGA」が心に残りました。

アジア関係では「RANG RALIYAN」。
巷では、SACHAL STUDIO ORCHESTRAが大ブレークしていますが、
アルバム発売に先立って、「TAKE FIVE」「DESAFINADO」をシングルで聴いており
結構盛り上がった後で新鮮味がなかったので、
同じSACHALレーベルからでていて、色々楽しめるこちらのコンピレーションを推したい。

他のアジア関連では、
・ASHA BHOSLE & SHUJAAT KHAN/NAINA LAGALIKE
茫洋とした宇宙を漂うようなアーシャ・ボースレの新譜も良かったです。

「GRATEFUL DEAD/EUROPE ’72 VOL.2」
22公演72枚組の完全版として
グレイトフル・デッドの1972年のヨーロッパ・ツアーの全貌が明らかになりました。
そのダイジェスト版である2枚組はグレイトフル・デッドの
緩いライブの生々しいドキュメントを捉えていて興味が尽きません。
「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」というデッド・ヘッズが書いた本も出版されていて、
デッドの革新性を再認識しました。

最後になりますが、中村とうようさん関連で、
「FAIRUZ/THE EARLY PERIOD OF FAIRUZ」
「常味裕司/光り輝く街」の2枚を。
とうようさんの最後のコンピレーションと常味裕司の心に沁みいるウードのソロ演奏で、
ご冥福をお祈りしたいと思います。