出る出るといいながら、なかなか発売されなかったニール・ヤングのアーカイヴ、
            ついに1972年までの溌溂とした時代の全貌をまとめたVOL.1が立派な箱入りで登場です。
            本人が記録しておればこその貴重なデータも満載。
            改めて几帳面な人なんだなあと感心します。
            映画「JOURNEY THROUGH THE PAST」もブルーレイで鑑賞できて、
            以前見た海賊版DVDとは雲泥の差で、霧が晴れる思いでした。
            
            今年はアラブ世界に加えて、西アジアはウズベキスタン、
            アゼルバイジャンといった国との新たな出会いにワクワクと胸躍らせた一年でした。
            中でも、お気に入りの2枚が、「AZERI GUNEL/ADI YOK」と
            「FERUZA JUMANIYOZOVA/SIZNIKI SANIATIM,SIZNIKI KALBIM」ですが、どちらか1枚となれば、
            魅力的な声とその美貌でAZERI GUNELでしょうか。
            
            アラブ世界の充実振りは今年も引き続きで、いろいろ楽しみました。 
            「KHALED/LIBERTE」 メルタン・メソニエを迎えてのハレドの新作は、久々の充実作です。
            「AIT MENGUELLET/AWKNI XDAE RABBI」
            カビール・ソングのイノヴェイターといわれる
            アイト・メンゲレットには、シャンソンとシャアビの混ざり合った、
            渋いけれども小粋、なところも気にいって、
            「ETTES ETTES…」や「YENNA-D UMYAR」などとあわせて楽しみました。        
            「大統領閣下への公開状」「軌跡 1983-1998」と次々に国内発売もされたLOUNES MATOUBですが、
            聴くほどに虜になる、いずれも甲乙付けがたい素晴しさで、返す返すも不幸な死が惜しまれます。
            もう一枚、シャアビから、「MOH SMAIL/ACHOU YIBOUIN」を。
            ジャケット写真だけなら、いったいお前さんはいくつなんだ?と怪訝に思い、
            ほとんどの人が敬遠するのであろうこの作品は、今年の掘り出し物です。
            なかなか奥深いプロダクションにも感心させられます。
            しかし、これは自主制作なのでしょうか?本人のモバイル・ナンバーが刷り込まれているのには驚きます。
 
            
            ヨーロッパは、久々のハリス・アレクシーウの新作に地味ながらドップリはまりました。 
            ファブリツィオ・ディ・アンドレへの2枚組トリビュート・アルバム
            「DUEMILA PAPAVERI ROSSI/LE CANZONI DI FABRIZIO DE ANDRE」には、
            ファブリツィオの豊かな世界があふれていて、幸せな時間が過ごせました。
            
            アフリカでは、「TINARIWEN/IMIDIWAN」は勿論すばらしい内容だったのですが、
            2009年は、ヴェヴェの復活アルバムが新鮮なニュースでした。
            「VEVE/IMMORTEL」軽やかなのにしなりがある、余分な力をすべて排除した円熟のなせるしなやかさ、
            まさに不滅の作品です。美しいです。
            
            最後にブラジルからはマリア・ベターニアの新作2種をボックスに詰めた
            「MARIA BETHANIA/TUA+ENCANTERIA」を。
            安定感と存在感は相変わらず。しっとりとした落ち着きが夜にぴったりきます。
            映像作品では、1973年の「CARTOLA e DONA ZICA」で、
            マルクス・ペレイラ盤を吹き込む直前の
            ショーロ編成をバックに渋い歌を聴かせる動くカルトーラを堪能できます。
            「NOEL Edicao Especial De Colecionador」というノエル・ローザの伝記映画も見所満載で、
          アート・リンゼイの丁寧なプロデュースも光る注目の作品です。
          今年を代表する1枚を選ぶと言うことになると、
            あえて、アルジェリアの変なオジサン、MOH SMAILを押したい気分です。