13世紀のペルシャ語詩人にして哲学者、宗教家、ジャラルディーン・ルーミーの生誕800年を期して、メルシャン・デデがリリースした新作です。気合い入ってますね。これをやりたかったんでしょうね...。
ルーミーの死後、その追随者達により、始められたメヴレヴィー教団は、今日でもトルコのスーフィーズムの中心的教団として、様々な経緯をへながら存続しています。白いロングスカート状の衣装でくるくる回転するセマー(旋舞舞踏)は日本でも有名ですが、そうしたセマーのバックで吹かれるネイ(葦笛)を中心としたスーフィー音楽を、メルシャン・デデは永らく今日的な感覚で演じて来ました。その今日的な音感と、ルーミーの詩、古くからのスーフィー音楽をミックスしたこの作、これまでのメルシャン・デデの歩んで来た軌跡が、一つの到達を迎えたこと教えてくれるでしょうか...。ギョクセル!の語りとチェザのラップ、そして柔らかなジプシー系のブラスに、幽玄な音色のネイやウード、ケマンチェによるスーフィー音楽が重なる冒頭の曲で、もうノックダウンですね...。日頃、こうしたインスト/インプロ系音楽に、あまり馴染みのない方でも、古くからのスーフィー音楽を踏まえたメルシャン・デデの説得力のある演奏、聴き応え充分だと思います。オススメできます。 |