ソンコ・マージュ Sonko Maju / 大地に生きる

ユパンキの魂を継ぐ孤高のギター、伝説のソンコ・マージュ、最新スタジオ録音盤。
情報は限られ滅多に人前に現れないが、たまに開くホール・コンサートは瞬く間に売り切れてしまう伝説のアーティスト。ジャンルを特定出来ないその弾き語りは、古めかしく重い日本語と流麗なスペイン語で歌われる深く神秘的な歌世界と、超絶技巧のガットギターをもって、60年近くにわたり一貫して変わらぬ姿勢で、世界を驚かせてきた。
回を重ねるごとに進化を続けるソンコ・マージュ83歳、そのとてつもないスケールの大きさを証明し、聖と俗、その間の遥か巨大な距離をそのギターと歌で音楽の運動に変えてみせた全12曲。王者の力強さに満ちたアルバムが出来た。本物の音楽がここにある。あまりに伝説的だが、いま敢えて問う。>☆

ソンコ・マージュが弾くギターには音楽以外の余分な物が無い。
不必要な意味性や物語性が無い。
だから私たちは彼のギターを聞いて、
人間の悲しみと喜び、寂しさとはかなさを感じる。
どこか遠くを旅しているような気分にさせられる。
―― 村上龍

Guitar, Vocal ソンコ・マージュ Sonko Maju
Producer: 馬頭將器 Masaki Batoh
Recording and Mastering engineer : 近藤祥昭 Yoshiaki Kondo
All analogue recorded at GOK Sound 2018

[ソンコ・マージュ]
1935年、栃木県生まれ本名荒川義男。15歳からクラシック・ギターを教えながらNHKオーディションに合格、1950年代末からバッハやアルベニスの曲を放送で披露。1966年スペイン政府給費留学生としてアンドレス・セゴビアに師事。(このムジカ・エン・コンポステラはギター教育の最高権威としてプロの逸材のみが集まるが、ここに育ちながら師に反抗しセゴビアと並び称されるのがナルシーソ・イエペス)荒川義男は厳格なセゴビアの前で、ギターの胴を右膝に置く田端義夫スタイルを押し通したが模範生として卒業つまり正統派の中の正統だった。
荒川は、1960年代初めアルゼンチン音楽といえばタンゴしか知られていない時代、NHKラジオでアタウアルパ・ユパンキの「悲しきタバコ」を聴き大きな感動を受ける。1964年ユパンキ初来日から3回目の1967年来日公演のレセプションの席で「ギジェルマ叔母さんによせる哀歌」を演奏、ユパンキは大いに驚き自身愛用のギター、名器ヌーニェスとケチュア語の名前「ソンコ・マージュ」を贈る。(インカ帝国皇帝の名から付けられたユパンキは荒川にインカ初代皇帝マンコ・カパックの名を用意したがケチュア語日本語ともに畏れ多いので辞退、「河の心」を意味する「ソンコ・マージュ」を選んだ)
1967年、不世出の音楽家ユパンキ生涯唯一の弟子となったソンコ・マージュが誕生、同年また翌1968年と中南米演奏旅行を行い大きな喝采を受ける。帰国後「ギターの詩情」(1972年ミノルフォン)、「復活」(1974年エレックレコード)を発表、また五木寛之の朗読アルバム「風に吹かれて」や野坂昭如「不浄理の唄」の伴奏を務める。五木寛之、野坂昭如、村上龍、立松和平ら多くの文学者から熱い支持を受け、これまでに11枚のオリジナル・アルバムを発表し、数多くのコンサートを続けている。1998年、国際芸術文化賞および国際文化栄誉賞を授与。
「ギターは心の前に置いて弾かねばならぬ唯一の楽器だ。だから深い親愛の声を持っている」このユパンキがソンコ・マージュに遺した言葉のとおり、さらにユパンキが訴え続けた自然への畏敬を伝えるべく、ソンコ・マージュは、形見のギターで体現し続けてている。(メーカーインフォより)