マルセロ木村 / SAMBA A DISTANCIA


ブラジル サンパウロ生まれで、16歳の時に音楽学校の講師になると同時にプロとして活動を続け、現在日本で渡辺貞夫のバンドなどにも参加するギタリスト、マルセロ木村の2018年最新作。

<以下、ケペル木村氏によるアルバム推薦>
 日本在住のブラジル人アーチスト、マルセロ木村の最新作は『Samba a Distância』と名付けられた。日本語に直訳すると『離れたサンバ』。その意味するところは「メンバーと同じ時空間での録音作業をしていない」ということ。インターネットを通じて各自がそれぞれの自宅(自室)など「離れた」場所で録音し、その音声ファイルのやりとりを経てこのアルバムは制作された。
 例えば作詞をしているブルーノ·タッソは現在はロンドンに住んでいて、マルセロは彼と直接会ったこともない。他の参加者たちは日本在住だが、それにしても忙しい時間を割いてスタジオに集まり録音するのは色々な意味で困難を伴うことも少なくない。でも今はインターネットのおかげでメンバーとは距離があっても素晴らしい音楽作品が生み出せる時代になった。
 もちろんメンバー間のコミュニケーションが十分に取れていることが大前提にあることは言うまでもない。しかもたった3週間で全曲が録音されたというのも大きな驚きだ。
 マルセロが全幅の信頼を置いているサポートメンバーは、ダニエル·バエデール(ドラムス、キーボード)、コモブチ·キイチロウ(ベース)、グスタヴォ·アナクレット(サックス、フルート)、安井源之新(パーカッション)、ロレーナ(ヴォーカル)、田口麻衣(琴)という、第一線で活躍する素晴らしい仲間たち。今やマルセロに欠かせない音楽的なパートナーのダニエルは、4年ほど前に「シルク·ド·ソレイユ」の公演で名古屋へ滞在していた時にマルセロと出会ったのだが、ここではダニエルがドラムだけではなくキーボードも演奏しており、さらにミキシングやマスタリング、そしてマルセロと共にこの作品のプロデュースも兼ねている。
 このアルバムにはマルセロが日本へ来てからの14年間に経験したこと、考えたこと、感じたこと、出会ったことなどが音楽として綴られたものだ。曲調としてはサンバやボサノヴァなどもあるが、コンテンポラリーなポップスやジャズもある。マルセロは全12曲の作編曲も手掛けており、音楽家として思う存分自分の世界を表現しているし、16歳からプロとしてブラジルで演奏活動をしていたという凄腕ギタリストとしての力量をどの曲でも遺憾なく発揮しているが、彼のヴォーカルもかなり魅力的だ。
 特に一人多重録音で作ったバックコーラスのハーモニーにもしっかり耳を傾けて欲しい。そういう部分からもマルセロが身に付けている音楽性の高さが理解できるはずだ。東京へ来る前からマルセロの圧倒的なライブ·パフォーマンスは有名になっていたが、この作品では細やかな表現にも長けていることが窺い知れる。
 このアルバムで魅力溢れるマルセロの音楽を味わった方には是非とも彼のライブに足を運んでいただきたい。さらに躍動的で超絶技巧を駆使した演奏を目の前で体験したら、マルセロの虜になることは絶対に間違いない。

1. Samba a Distância (MarceloKimura/BrunoTasso)
2. Aequilibrium (Marcelo Kimura)
3. Kabuki (Marcelo Kimura)
4. Engano (MarceloKimura/BrunoTasso)
5. Mãe, Música! (Marcelo Kimura)
6. Tons (MarceloKimura/BrunoTasso)
7. Sarapatel (Marcelo Kimura)
8. Xote Puxa Puxa (MarceloKimura/BrunoTasso)
9. Bituca (MarceloKimura/BrunoTasso)
10. Vô Ernesto (Marcelo Kimura)
11. Satori (MarceloKimura/BrunoTasso)
12. Carrossel (MarceloKimura/BrunoTasso)

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