2013 BEST ALBUMS 戸嶋 久さん

longingpast【リイシュー・発掘篇】
第一位 v.a.『Longing For The Past: The 78 Rpm Era in Southeast Asia』
今年のベスト1はこれしかないです。学究的な編集じゃなく、純粋に聴いて楽しめる編集になっているのもポイント高し。

第二位 美空ひばり、川田晴久『ひばり&川田 in アメリカ1950』 
これが今年のトップワンじゃないかと出た時は思いました。ひばりの最高のパフォーマンスを記録したものであると同時に、川田もいいです。

第三位 ネティ『いにしえのクロンチョン』 
クロンチョン歌手最高の存在であるネティの歌声は、今までいくつかの編集盤に入っているのを聴いてましたが、単独フルアルバムで聴けたのは今年の大収穫。これもディスコロヒア復刻です。

第四位 サローマ『ポリネシアン・マンボ~南海の国際都市歌謡』 
サローマのフルアルバムが聴けたのも、今年のディスコロヒア復刻のおかげでした。

第五位 v.a.『インドネシア音楽歴史物語』
田中勝則さん入魂のディスコロヒア第一弾。これは面白かった。戦前のSP音源から戦後のポップな流れまで、大変勉強になりました。それ以上に楽しく聴けます。

第六位 v.a.『Rembetika: Have They Got Hashish in Hell?』
JSPから沢山出ているレンベーティカのリイシュー・ボックスの、恐らく最終篇。タイトル通り、ヤバイ雰囲気がプンプンしていています。

第七位 Mohamed El Anka『Double Best: Le Grand Maitre du Chaabi Algerien』
アルジェリアのポップ歌謡であるシャアビ誕生の立役者、エル・アンカのリイシュー物。

第八位 Upit Sarimanah『Pop Sunda』
ウピット・サリマナの(恐らく)初のフルアルバムが日本で復刻されたというのも、今年前半の大きな収穫でした。これは確かエルスール・レコードから出た一枚でした。

第九位  鄧麗君『1982香港伊利沙伯體育館演唱會』
タイトル通り、テレサ・テンの1982年香港でのライヴ三枚組です。翌年に代表作となる『淡々幽情』を録音するという、彼女の絶頂期のライヴ。本当に楽しめました。森進一やアン・ルイスの曲もあり。

第十位 Louis Armstrong『The Okeh, Columbia & RCA Victor Recordings 1925 – 1933』
サッチモの戦前コロンビア系音源の決定版が出ました。音質も大幅アップで、オススメです。

4P_135_Pin [XVÏ‚Ý]【新作篇】
第一位 Sakaki Mango『Karaimo Limba』
一昨年の前作『オイ!リンバ』が超絶的に大傑作だったせいで、今作はあまりいい感じがしないかもしれませんが、これも大傑作でした。特に末尾の「Dub Kagoshimana」のグルーヴは究極。

第二位 Burning Bridget Cleary『Pressed for Time』
アメリカン・ケルティック・バンドの新作。歌ものあり、インスト曲ありで飽きさせない編集。なんと言っても二人の女性歌手の伸びやかな歌とフィドルが素晴しかったです。

第三位 Ezgi Köker『Sade』
今年も充実していたトルコ歌謡。いろんな歌手のアルバムを買って聴きましたが、一番よかったのが、このエズギ・クケルの一枚。バックの演奏も最小限なアクースティックな編成で素晴しかったです。

第四位 Sein Moot Tar『Plays Myanmar Classical Songs』
ソーサーダトンで興味を持ったビルマ音楽。中でもこのセインムーターによるパ・ワイン演奏は、麻薬的な中毒性があって、本当に素晴しいものです。

第五位 Soe Sander Htun『Sae Koe Lone Nae Aung Par Sae』
ビルマ人歌手のソーサーダトンを知ったのは、今年の大きな収穫でした。バックの演奏がなんと言っても素晴しいですが、それに合わせて歌う彼女の声も絶品。

第六位 Tamikrest『Chatma』
タミクレストとは、マリのトゥアレグ人達による、いわゆる<砂漠のブルース>のバンド。ティナリウェン・フォロワーとしてはトップの存在だと思います。

第七位 Garikati Tirikoti & Madzitateguru Edu Mbira Orchestra『Gwenyambira』
ンビラ合奏による、オーケストラルなサウンドが素晴しかった一枚。本当に心地よくて、聴いてて眠ってしまいそう。

第八位 Patty Griffin『American Kid』
カントリー畑の歌手による、あまりカントリーらしくないサウンド。ロバート・プラントも参加しているみたいですけど、それは殆ど意識することなく聴けます。

第九位 Ry Cooder and Corridos Famosos『Live in San Francisco』
ライ・クーダーの去年のライヴ(あれ?一昨年だっけ?)。フラーコ・ヒメネスを迎え70年代の雰囲気をよく再現していましたね。

第十位 Leo Gandelman『Ventos do Norte』
ブラジルのショーロ・ジャズとでもいうべきサックス奏者の新作。聴いて単純に楽しめる音楽で、何度も繰返し聴きました。

以上ですが、選から漏れたものではリイシュー篇で、チャーリー・クリスチャンのベニー・グッドマン・コンボ時代の音源集大成とか、新作篇では、ハレス・アレクシーウの新作なども、十位以内に入っていてもおかしくないものでした。

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